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 気がつくと、みんな昼休みで席を立っていた。

「瞳、お弁当……」

 僕俺は、瞳を呼び止めるとその場でお弁当箱を渡してもらった。

 僕の席は転入生に水谷さんがいるので、占領されているのかと思ったけど無口な彼女を相手にするのはさすがに飽きたらしく昼休みの頃になると誰も相手にしていなかった。

「水谷さん、一緒にお弁当一緒に食べよっか?」

 水谷さんは、コクリとうなずいた。
 一緒に食べると言っても、僕らは口数が少ない。
 ほぼ無言のまま、食事を済ませた。

「美味かった?」

 僕の質問に水谷コクリとうなずいた。

「あの、すみませんでした」

「あ?何が?」

「私のせいで、結城さんの評判を下げてしまって……」

「気にする事ないよ、僕にも非があったわけだし……
 こっちこそ、怪我させてしまったみたいでごめんね」

「怪我は、大丈夫です」

「そっか
 それは良かった」

 水谷さんが、優しい表情で笑う。
 でも、その表情がぎごちない。

 水谷さんは、話すのが苦手なのかな?
 担任が、言っていた『前の学校で色々あった』という言葉が気になった。

 イジメかな?

「お弁当は自分で作っているの?」

 水さん谷は、コクリとうなずいた。

「結城さんは、彼女さんに作ってもらってるのですか?」

「彼女?」

「朝、一緒にいた人……」

「あれは、彼女じゃないよ」

「そうなんですか?」

「姉弟だよ」

「双子ですか?」

「いや……
 義理かな……」

「そうなんですか。
 あの……すみません」

「『すみません』って何が??」

「聞いたらいけない気がして……」

「気にしなくていいよ」

 僕は、小さく笑う。

「私も、父親がいないんです」

 水谷さんの両親は、離婚したのかな?

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