バナー画像 お気に入り登録 応援する

文字の大きさ

06

 ガラガラガラと教室の扉が開く。

「おい、お前ら席に着け」

 担任が入ってきた。
 それに、合わせて瞳も自分の席に戻った。

「おい、今日は、昨日言っていた転入生の紹介をするぞ」

 担任の後ろをひょいひょいと小さな女の子が入って来た。
 その女の子は、担任の隣に立つと、小さく会釈した。

「じゃ、水谷さん自己紹介をしてくれ」

「水谷 奈々」

 女の子は、小さく呟いた。
 その声は、後ろの席に座っている僕にかろうじて聞こえるものだった。

 でも、この子どこかで見たことがあるような。
 瞳の方に目をやると、うんうんと僕の方を見て頷いたいた。

「あ……」

 水谷さんが小さく声を上げた。
 僕の方を見ている。

「ん?どうした結城弟と知り合いか?」

 担任が、水谷の視線に気づくとそう言った。

「はい」

「どんな知り合いなんだ?」

「さっき押し倒されました」

しおり