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アスタリスク


アスタリスク側

クルスムスが団長代理となり、ロデオソウルズと戦闘を開始。
 一ヶ月後


アスタリスク陣営で、団員が急いでザラミに報告する。

「団長!またです!
 西側にいた「オルトロス」の四番隊と連絡が取れません」

「おい、団長と呼ぶな!
 しかし、またか・・どうして、オルトロスの隊ばかりが……
 これで、オルトロスの八部隊の中の、三、四、六、七、と、
 四隊連続でオルトロスのみが、やられていることになる。
 
 どうしてロデオソウルズは、アスタリスクを狙わないんだ?
 何か理由があっても、おかしくないぞ。
 おい、クルスムスには伝えているのか?」

「はい、マコト参謀長を通してお伝えしております。
 ただ、こちらの三番隊、四番隊も迎撃されて戻ってきたため
 偶然だと思われてる様子です」

「……う〜ん…偶然なのだろうか?
 迎撃された隊は二隊とも、司令系統は残っている
 しかし、オルトロスの三番隊と六番隊、七番隊は、隊長以下の団員が全て殺られている
 おそらく、同じ隊にやられたんだろう、四番隊も全滅なら、何か裏があるはずだ」

「やはり、ザラミ団長が指揮を取られるべきでは…」

「ふふっ、嬉しいことを言ってくれるが、仕方のないことだ。
 オルトロスのような巨大な団には、逆らえない。
 ただ、もしあいつ…クルスムスの指示で、俺たちアスタリスクの隊長を一人でも犠牲にしやがったら、
 あの若僧を、俺がこの手で切り刻んでやる」


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同時刻。
アスタリスク司令部。

「クルスムス団長…オルトロス四番隊のハタケ隊長以下、二百名、全滅と報告が入りました」

クルスムスは参謀マコトの報告を聞いて、拳を机に叩きつける。

「クソッ、どういうことだ!これでオルトロスの隊ばかり600名以上の損害……
 なぜ、うちの隊ばかり狙い撃ちにされるんだ!
 マコトさん!あんたの隊には、どうやら情報を流している裏切り者がいるんじゃないですか!」

「…そんなはずは……ないと信じておりますが…
 早急に調べさせておきます。
 しかし、おそらくすぐにわかり兼ねる状況です」

「ふざけたことを!もしかしたらマコトさん、あなた達は最初からロデオソウルズと組んで、
 オルトロスと私に損害を与えるのが、目的だったのではありませんか!?」

「とんでもない!前線をオルトロスの隊のみにしたのは、クルスムス団長、あなたの指示です。
 自分たちの隊だけで成果を上げて、ソドム総統にアピールしようとしたのが、
 そもそも間違いではありませんか!」

クルスムスは、団長代理である自分に刃向かうマコトへのイライラもプラスして、頭をかきむしった。

「とにかく、もうこんな小さな団の縄張り争いで、うちの大事な隊を傷つけるわけにはいきません!
 前線には、あんたたちの隊を出させてもらいますよ!
 オルトロスに頼んで、援軍をもう1000名追加で送るように指示してありますから、
 到着するまでは、死んでも持ちこたえるように、言い聞かせておきなさい!」

クスルムスは、靴を踏み鳴らし、司令室を出て行く。


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アスタリスク側
戦闘区域、最前線。

クルスムスからの伝令により、後方支援をしていたアスタリスクの船戸隊が、
最前線へ送られた当日。
船戸隊長が、廃ビルの上階の窓から戦況を見ながら、隊員を相手にぼやいている。

「おい、カイトの野郎はどこに行った!」

「どうやら、また逃げちまったようですよ」

「なんだよ、今回は本気であのナメた野郎を殺ってやろうと思ってたのによう」

「そうですよ隊長!オルトロスの隊があっけなくやられてるんだ。
 ここで俺たちが成果を上げて、クルスムスの野郎の鼻をへし折ってやりましょうよ!」

「そうだな、クルスムスの奴も、やっと俺たちを前線に出すしかなくなったんだ。
 やってやるぜ!
 
 それに、カイトの野郎の手口はもうわかってるんだ。
 奴は、毎回こっちの出方を見て、すぐにもう一度だけ仕掛けてきている。
 だから、今回も絶対に近くに潜んで、もう一度仕掛けてくるはずだ。
 
 おい、クルスムスの小僧に言っとけ!
 俺たちだけでカイト隊を蹴散らしてやるから、弱ぇ援軍は引っ込めてろってな!」

「へへっ!さすが船戸隊長だ!伝令を送ってます!」

「……バカが!伝令まで出す必要はねぇんだ…
 だが、この勢いを隊員には、きっちり伝えてこい!
 あと、カイト隊への警戒を強めるように言っとけ!
 いいな!」

「はい!言い聞かせて来ます!」
 
「ったくよぉ……ザラミ団長も、ロデオソウルズにもオルトロスにもビビリ過ぎなんだよ。
 ちょっと手こずったって、こんな小ぃせぇ団、俺たちだけで、なんとかできねぇでどうすんだ。
 マコトも考え過ぎだ、ザラミ団長も頭でっかちの参謀に頼らずに、
 さっさと俺を副長にすりゃ、すぐに片付けてやらぁ。
 いや、待てよ……ここで結果を出せば、オルトロスに引き抜きって事もあるんじゃねぇか?
 そうすりゃ、こんな田舎よりあの都会で好き放題でき・・・ング!!」

「船戸隊長、本当に伝令は……?
 何してんだテメ……ヒェッ…!」

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6時間後……

後方待機のザラミ隊に、報告が入る。

「…ザラミ隊長…先ほど報告が入り、最前線の船戸隊が、落ちました
 …隊員150名…全滅です」

「…ぜ…全滅だと!
 クッ…あの若僧!ついに、船戸を巻き込みやがった……!
 おい!てめぇら準備しろ!クルスムスのクソガキを、ぶち殺しに行くぞ!
 その後は、ロデオソウルズに弔い合戦じゃ!
 ナメやがって!全員、血祭りにしてやる!」

「し・・しかし・・クルスムス団長に勝手に動くなと命令が・・・ガッフッ!」

ザラミは、隊員を刺し殺した。

「…おい!他に文句のある奴はいるか!いるならかかってこい、先に地獄に送ってやる!
 ………いねぇな?よし、俺がアスタリスク団長のザラミだ!
 お前ら、俺についてこい!」

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4時間後……

アスタリスクの司令室。
隊員が、血相を変えて駆け込んでくる。

「マコト参謀!ザラミ隊長が、謀反です!」

「何?……ザラミ団長…船戸さんをやられてキレちまったか…
 今どこに!」

「おそらく自室にいるクルスムス団長の所に向かっているようです!」

「わかった!」

マコトは、司令室を飛び出して行く。

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同時刻……

クルスムスの自室。
ザラミが、部下5人でクルスムスを囲んでいる。
ザラミの手には愛刀のモンゴル刀が握られている。

「な・・何のつもりだ!ザラミ!上官に刃を向けるとは!」

「ウルセェ!おい大将!何だ?貴様の仕事は、部下を殺すことなのか?
 自分に任せておけば、問題ないと言っていたのは、どこのどいつだ!」

「待ちなさい、ザラミ…さん…とにかく落ち着きなさい、
 あなたが怒っているのは、船戸隊長がやられたからでしょ?
 それは、私のせいじゃなく、敵の・・ロデオソウルズのせいじゃないですか!」

「ああ、わかってるさ、それは貴様を八つ裂きにした後に、いくらでも相手してやるつもりだ」

クルスムスは、汗をふき、腰に差した日本刀に手をかける。

「……フッ、話しても、無駄ですか、本気で私とやりあうつもりなんですね?
 忘れてるんですか?私はオルトロスの幹部ですよ?
 やりあって勝てるとでも思ってるんですか?」

クルスムスの言葉は、脅しではない。
オルトロスは、団員1万人を超える巨団である。
その幹部の強さは、並のものではないと、ザラミもわかっていた。

「ああ、思ってるよ、一人じゃ無理かもしれんが、俺たち6人がまとめて相手になってやるから、心配するな!
 死ねぇぇ!」

「!!…卑怯な…クッ…グワ…!」

そこに、マコトが駆けつけた。

「ザラミさ……!…クッ…遅かったか……」

「はぁ……はぁ…マコト…」

「……やってくれましたね」

「ああ……もっと早くこのガキを始末してりゃ……船戸も死ぬことなかったんだ」

「全くですよ……柄にもなく、上にすがったのが間違いでしたね、反省してくださいよ?団長」

「ああ悪かった…周りは敵だらけだが、マコト…何とかなりそうか?」

「わかりません……とりあえず一晩考えますよ」

「ああ…苦労かけるが、頼むぜ…マコト」 

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