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見つけてしまった

年末、彼女の部屋の大掃除を手伝っていたときに見つけてしまった。彼女の死んだ友人がよく身に付けていたアクセサリーを。「あの子には派手過ぎて似合わない、私の方が似合うのに」と、彼女がこぼしていたのを俺は覚えていた。なんで死んだ友人の遺品が、彼女の部屋に?
確か、その子の死因には不審なところがあって、警察の事情聴取を受けたと彼女から聞いていた。まさか、アクセサリー欲しさに、彼女があの子をと考えて、俺は急に怖くなり、急用を思い出したと言って掃除の手伝いを中断して彼女の部屋から逃げ出した。
帰る途中、俺は考えた。警察に知らせるべきか。もしかしたら、そっくりなものを自分で買っただけかも、友人の遺品として譲り受けたのかもとあれこれ考えながら歩いていると、彼女が、走って追いかけてきたのを見て、俺は慌てて駆け出した。
「スマフォ、スマフォ、あんた、スマフォ忘れてるわよ」
彼女はただ、俺の忘れ物を慌てて持って来てくれただけだったが、勘違いした俺は道路に飛び出し、車に轢かれて死んだ。俺が見付けたあのアクせサリーは、俺の想像した通り、あの子の両親が親しかった彼女が遺品として譲り受けたものだった。俺の死は、勘違いの事故死だったが、目撃者の証言から、彼女に追われて道路に飛び出したのが原因と、彼女が加害者と疑われてしまったが、死んでしまった俺には彼女を弁護することはできず、彼女も俺を殺してしまった罪悪感に悩まされ、裁判で有罪になったとき、彼女はひとり笑っていた。

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