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超・高威力合戦。




 俺は今、手こずっている。

 ──ガゴォオオオオオオンンンッ!!



「くそ、イキイキしやがってっ!」


 もうかなりの数打ち合っているが、阿修羅丸の勢いは未だ衰えず。息一つ乱れないとはこれなんぞ。

 つか、この消耗戦を仕掛けた側の俺の方が先に息切れしてんだから世話がないとはこの事だ。

 かと言って俺もただ一途にぶつけ合うだけで終わらすつもりはない。

 この消耗戦には別の狙いもあった。

 それはお馴染みの…


『【斬撃魔攻LV9】に上昇します。』
『【刺突魔攻LV9】に上昇します。』
『【重撃魔攻LV2】に上昇します。』
『【直撃魔攻LV2】に上昇します。』


「くぅ…ッ……良い負荷だなちくしょう!」

 超が付く強敵の超が付く強撃を打ち落とすんだからな。その負荷がどれ程となるか、ある程度の予想はしていた。

 つまりは、こんな体たらくでも狙い通り──というか、狙ってたより遥か上だ!上過ぎるだろ!なにこの負荷!?

 だってスキルレベルがさ。こんなに上がるか?ってぐらい上がるんですよ。

 さっきだって、進化したばかりで上昇しにくくなってるはずの【重撃魔攻】や【直撃魔攻】のスキルレベルまで上がっちゃうし──いや、それだけじゃない。
 

 ──ガゴォオオオオオオンンンッ!!


『【回転LV10】に上昇します。上限到達。【螺旋LV1】に進化します。』 

『【ステップLV10】に上昇します。上限到達。【震脚LV1】に進化します。』

『【溜めLV10】に上昇します。上限到達。【チャージLV1】に進化します。』

『【呼吸LV10】に上昇します。上限到達。【爆息LV1】に進化します。』

『【血流LV10】に上昇します。上限到達。【ポンプLV1】に進化します。』

 俺の回転技を成立させるためにあるスキル群もこうして、軒並みスキルレベルが上昇し、終いには進化までした。更新された性能は以下の通りだ。

【螺旋LV1…螺旋運動からの攻撃力と防御力が1.1倍】

【震脚LV1…踏み込む際に攻撃力1.1倍】

【チャージLV1…溜めてからの攻撃力1.1倍】

【爆息LV1…爆発的呼気を発した際に攻撃力と防御力1.03倍】

【ポンプLV1…人外の血流操作で攻撃力と防御力1.03倍】

このように。コモンスキルではあるあるの『微弱だが』って文を晴れて卒業している。どれも倍率補正が付くようになった。

 ただな。こんなに沢山のスキルが一気に進化して、しかも確実な効果を生むようになったもんだから、俺の肉体に掛かる負担も急激に上がって──


 ──ガアッゴォオオオオオオンンンッ

 
『【健脚LV10】に上昇します。上限到達。【剛脚LV1】に進化します。』

『【強腕LV10】に上昇します。上限到達。【剛腕LV1】に進化します。』

『【健体LV10】に上昇します。上限到達。【剛体LV1】に進化します。』

『【強幹LV10】に上昇します。上限到達。【剛幹LV1】に進化します。』

『【柔軟LV10】に上昇します。上限到達。【超軟LV1】に進化します。』

 と、このように。各部筋力を強化補助していたコモンスキルも軒並み進化…

 ……だけでは終わらなかったんだから驚きだ。

『【剛脚】【剛腕】【剛体】【剛幹】【超軟】が呼応。スキル合成が可能です。合成しますか?』

 俺は回帰者だからな。

 この現象なら知ってた。

 【MP変換】に頼らず独力で進化の壁を突破、つまりは独力でスキルレベルを9→10にしたスキルが二つ以上あった場合、システムが希に合成進化を持ちかけてくる。

 それに合意すると上手くすればレアスキル、さらに運が良ければオリジナルスキルを得られるとか。

 まあ、めったな事では起こらない。前世でもかなり上位の魔力覚醒者からしか聞いた事がなかった…え、俺?もちろん経験した事なんてない。

 だが、今世なら十分起こりうると思っていた。というか狙っていた。

 何せ今世の俺はスキルを独力で進化させまくって渋滞してるまであるからな。

 ただ当たり外れはある。【MP変換】を使えば簡単に得られるただの上位スキルで終わる場合もある。

 まあそれで起こる不具合は殆んどないので大概は喜ばれるんだが…

『オリジナルスキル【超剛筋】を取得しました。』

「オリジナルスキルぅ!?…ってか急にッッ!…ッのわぁぁああっ!?」


 ──ドッゴオオォオオオオンンッッ!!
 

【超剛筋LV1…全筋力が強化される。現在の補正倍率1.3倍】

 戦闘中にこんな大胆な肉体改造をされてしまえば手元が狂うなんてレベルで済まされない。俺は間抜けにも大きくバランスを崩してしまった。

 全力迎撃を全力回避へと即座切り替えたから何とか命拾いしたが…危うく阿修羅丸の全力攻撃が直撃するところだった。全力多いなおい。

 にしても…

「これってかなりの化物スキルなんじゃ…」

 だって、肉体が総合的に増強されるんだぞ?攻撃力だけじゃない。防御力や速度にも影響する。しかもLV1で1.3倍とか…

(いくらオリジナルスキルと言ってもヤバ過ぎるだろ…)

 だって、これとはランクが落ちる希少スキルとはいえ、『速』魔力しか上がらない【韋駄天LV1】の強化倍率と変わらないんだぞ?

 …ああ、でも、

「…あぁそっか。これは肉体の強化で…この性能も『グルメモンスター』の称号ありきってやつか」

 普通の魔力覚醒者の肉体が三割強化されても大した効果にならない。俺と違ってレベルアップが出来る彼らは、肉体の強化より器礎魔力の強化がメインとなるからな。

 それに対して俺の肉体強度は、グルメモンスターのおかげで通常とは全く別の次元へ突入しつつある。

 もっと詳しく言えば、
 
 通常だとレベルアップで上昇した器礎魔力に追随する形で肉体は強化される。

 これはゲームのようなお手軽さを感じる現象だが、その裏では肉体に大きな負担を強いている。

 それを放置し続けるといつかは『見た目元気で体内、主に内臓がボロボロ…』という状態に陥ってしまう。

 という事が後に発覚し、それを補完すべく『レベルアップに負けない肉体作り』の最適解とされ、新たな文化にまで発展を遂げたのが、『魔食』だった。

 誰が始めた事なのか知らないが、実際に効果があると認知されたのは『器礎魔力まで上がる事』が発覚したからだな。それ以降は皆が皆、魔食材探しに躍起になったものだ。

 ただ、彼らにとって肉体改造のメインはあくまでもレベルアップにある。魔食はその不具合を解消しつつ少し強化するための手段に過ぎない。

 対して、俺はどうか。

 レベルアップ自体が封じられている。その代替えとして『魔食』をメインとするしかなかった。それを切っ掛けに獲得した称号が『グルメモンスター』だった。

 この称号の影響で俺の魔食効果は大幅に上昇。その結果として『異常発達し過ぎた肉体が自滅を防ぐため魔力を取り込んで器礎魔力を上げる』というサイクルを得るに至った。

 つまりは、レベルアップメインで強化される連中とは全く逆のアプローチ。どちらが効率的な強化であるのか比較検証が必要と思っていたが…

(この【超剛筋】の効果を踏まえたら…どうだろう…)

 魔食材の収集具合によるが、俺はもしかしたら…

「(最終的には…誰よりも強い肉体と器礎魔力を得るって事にならないか?)いや、多分なってるな…──ってのにっ!くそぅっ!?」



 ──ガゴォオオオオオオンンンッ!!



「どうなってんだコイツはっ!?」


 これほど大幅に強化されたってのに!


 ──ガゴォオオオオオオンンンッ!!


 もう何合目なのか分からないぐらいに打ち合っているのに!


 ──ガゴォオオオオオオンンンッ!!

 
「全然元気じゃねぇかこのヤロウッ!!」


 阿修羅丸の全力攻撃が、全く衰えない!


 ──ガゴォオオオオオオンンンッ!!


 こっちがこれだけ強化されたんだから、ヤツの右手が受けるダメージだって相当に大きくなっているはず。なのに。


 ──ガゴォオオオオオオンンンッ!!


 そのダメージが蓄積されてんだから、少しくらいヤツの攻撃の威力が下がってもいいはず。

 それなのにっ!

 ──ガァアア!ドゴォオオオオオオッ!!!!

 ていうか!逆に威力が上がってないか?そう感じるのは…


 ──ガゴドォオオオオオオンンンッ!!


「ぐぅう、くそ、何でだッ!!?」

 


=========ステータス=========


名前 平均次(たいらきんじ)

MP 3480/7660

《基礎魔力》

攻(M)180 
防(F)39 
知(S)98 
精(G)17 
速(神)214 
技(神)154 
運   10

《スキル》

【MPシールドLV7】【MP変換LVー】【暗算LV2】【機械操作LV3】【語学力LV2】【大解析LV2】

【斬撃魔攻LV7→9】【刺突魔攻LV8→9】【重撃魔攻LV2】new!【直撃魔攻LV2】new!


【韋駄天LV8】【魔力分身LV3】

【螺旋LV1】new!【震脚LV1】new!【チャージLV1】new!【爆息LV1】new!【ポンプLV1】new!【超剛筋LV1】new!

【痛覚大耐性LV1】【負荷耐性LV8】【疲労耐性LV8】【精神耐性LV9】

【魔食耐性LV5】【強免疫LV5】【強排泄LV5】【強臓LV5】【強血LV5】【強骨LV3】

【平行感覚LV2】【視野拡張LV2】

《称号》

『魔神の器』『英断者』『最速者』『突破者』『武芸者』『神知者』『強敵』『破壊神』『グルメモンスター』

《装備》

『鬼怒守家の木刀・太刀型』
『鬼怒守家の木刀・脇差型』

《重要アイテム》

『ムカデの脚』

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しおり