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最終話 その後と快気

蒼一郎が処刑された日から月日が流れ、吐く息もすっかり白くなっていた。この数か月で世界情勢はかなり変化した。
まず、3か国が植民地にして国すべてが独立に成功し、貿易航路の確保も成功した。本来ならば数年はかかるはずであった独立化も3か国の全面的な協力を得て、たったの数か月で成し遂げることができた。
また、日本では蒼一郎の処刑を促した沢渡副大臣は、実刑判決を受ける裁判を受けるため逮捕され、処刑に加担した職員も降格や減給などの処罰を受けた。自身の腕の中で蒼一郎を失い、精神的に深い傷を受けた美琴も完全ではないとはいえ回復していった。
さらに月日が流れ、お彼岸。美琴たち防衛省職員数名は蒼一郎のお墓参りに来ていた。

 高宮大臣:
 「ようやくひと段落着いたよ、蒼一郎。世界情勢も安定していって植民地だった国も独立できた。それも、お前が5年間この国を守り続けてくれたおかげだ。ありがとう。」

高宮大臣は少し涙ぐみながらも話をつづけた。

 高宮大臣:
 「5年間本当にお疲れ様。あっちでゆっくり休んでくれ。」

 美琴:
 「すみませんちょっと。」

お参りが終わると、美琴は速足でその場を後にした。

 女性職員:
 「やっぱりまだ立ち直れてないのでしょうか?」

 男性職員:
 「まぁ無理もない。自分の腕の中で好きな人が亡くなったんだ。精神的な傷はそう簡単に治らないだろうよ。」

 高宮大臣:
 「君たち先に戻ってな。俺は少し寄ってくところがあるからよ。」

 女性職員:
 「わかりました。」

職員たちはそれぞれ防衛省に戻っていった。高宮大臣は蒼一郎のお墓に2本のお酒を備えた。

 高宮大臣:
 「俺と八坂くん、それぞれのおすすめのお酒だ。あっちで味わって飲んでくれ。じゃあまた来るな。」

高宮大臣はその場を後にしてある場所に赴いた。

 高宮大臣:
 「やっぱりここにいたのか。八坂くん。」

美琴がやってきていたのは蒼一郎がいた物見塔のてっぺんであった。

 高宮大臣:
 「君ならここに来ると思っていたよ。ここは君と蒼一郎の思い出の場であり、ホームみたいなものだからな。ちょっと失礼するよ。」

高宮大臣は美琴の隣りに座った。

 高宮大臣:
 「やっぱりまだ立ち直れないか?みんな心配してたぞ。」

美琴は何もしょべらず体育すわりをしたまま下を向いていた。高宮大臣もそこからは何もしゃべらなかった。少し時間がたつと

 美琴:
 「よし!」

美琴は急に大きな声を出し、立ち上がった。美琴が急に大声を出したことに驚いた高宮大臣は美琴をじっと見つめた。よく見るとかなり泣いたのか目が赤く腫れていた。

 高宮大臣:
 「どうしたの急に?」

 美琴:
 「すみません。もう大丈夫です。これ以上泣いていたら好きな人に顔向けできませんから。おばあちゃんになった時にお土産話をいっぱいしてあげたいですからね。」

美琴は吹っ切れたような満面に笑みを浮かべた。

 美琴:
 「行きましょう大臣。まだまだ仕事が山ほどありますよ。」

 高宮大臣:
 「おう今行く。・・・頼もしくなったな。」

美琴と高宮大臣は物見塔を後にした。

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