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その言葉を聞いたクラスメイト達はお互いに顔を見合わせた。

そして男子たちが、その子について予想を立て始めた。その女の子は美人だとか、その子は外国人だからきっと可愛いはずだとか色々言っていた。その様子はとても楽しそうだった。そしてチャイムが鳴り響いた。そして扉が開いた。そこには一人の女の子がいた。
彼女はとても美しかった。そして彼女は微笑んでいた。その笑顔はまるで天使のように輝いていた。その美しさに見惚れた生徒もいただろう。だが大半の生徒が、彼女の瞳を直視できなかった。何故ならば、その目は真っ黒に染まっていたのだから。
「初めまして、皆さん」と、透き通るような声で言った。そして彼女はこう続けた。
「私は今日からこのクラスに編入することになった、神野 彩奈と言います。よろしくお願いします」と言って、頭を下げた。そして続けて言った。
「私の席はどこですか?」と。その言葉を聞いたクラスメイト達はお互いに顔を見合わせた。
―えっ?なんでそんなに戸惑ってるの?まさか、知らない?―とその様子を見ていた女子が呟くと一人の生徒は立ち上がって言った。「えっとね。彩奈ちゃんの席はね。一番後ろの窓際の空いている席だよ」と少し戸惑いながらも説明した。その生徒は、まるで自分がいじめられているかのような態度をとった。それを聞いた他の生徒たちも困惑した表情をしていた。すると、その少女は「わかりました。ありがとうございます」と丁寧にお礼を言うと、自分の指定された場所に向かって歩いて行った。
「えっ?」
「えっ?」
「えっ?」
と、周りの人たちも驚いているようで、しばらくすると教室は静まり返り、そして笑いに包まれたのです。
そして少女は自分の席に着いた。そして、周りから声をかけられていた。その反応から察するに、どうやら転入生が日本語があまり得意ではないことを悟っているようであった。
少女が口を開く。すると、声が二重に重なって聞こえてきた。
「はじめまして、私は彩奈といいます。みなさんよろしくね」
そして少女の笑顔を見た人たちは皆、見惚れてしまっていた。その可愛さに頬を赤らめ、照れたような顔をしている。その様子を見ていて私はなぜか、モヤっとした気持ちになり、気がつくとその子の方をじっと見つめていました。その時です。少女と目があったのです。
私は慌てて目を逸らすと胸の奥に妙なざわつきを覚え、思わず胸を手で押さえてしまいました。鼓動も高まっている気がしました。(何なんだこれは?)と思った時にふとある考えが浮かんできました。それは少女が私の呪いをかけた本人だということでした。私はそのことを確信しましたが証拠がないため問い詰めることができませんでした。そこで放課後に少女の後をつけることにしたのです。
放課後になると少女は一人になったタイミングで話しかけられています。そして、そのまま人気のないところに行くと二人でどこかに行ってしまいました。私はこっそりついていく事にしました。
「それでね、私好きな人が居るの」
「そうなんだ」
(好きな人いるんだ……。ってことはやっぱりあの時見たのは……。いや、決めつけるのはまだ早い)
「それでね。その人に告白したいんだけど勇気が出なくて……。ねえ、どうやって告白すればいいと思う?」
「ええっとね……」
「やっぱりストレートに言うべきだと思う?それとも何かサプライズを仕掛けるべきかな?」
「そうだね……」
「それとも手紙を書くべき?」
「それは……」
「ん?どうしたの?」
「それはあなた次第よ」
「そっかぁ……」
「ねぇ」
「なに?」
「もしもの話なんだけどさ」
「うん」
「私が呪いを解いてほしいっていったらどうする?」
少女は唐突に問いかけてきました。その目は黒く濁っていました。そして少女は続けます。
「だってね、あなたの呪いのせいでね、私の家族が死んだの。あなたの呪いのおかげで私は大切な人を亡くしたの」
少女の目には涙が流れており、今にもこぼれ落ちそうでした。私はその言葉を黙って聞いていましたが何も言い返すことが出来ません。その言葉は私にとって重い言葉でした。私は今まで何人もの命を奪ってきたのです。それを改めて思い知らされました。だから私は謝ることしか出来ません。しかし少女はそんな私を許そうとはしませんでした。
「どうして?」
少女は声を荒げて私に問いかけてきます。
「私はあなたの呪いを解きたかったのよ?なのにどうして?どうして私に優しくしてくれるの?どうして?どうしてなの?」
そう言って少女は泣き崩れた。嗚咽交じりに何度も私に問いかける。私はそれに答えることが出来ない。ただ沈黙がその場を支配する。そして私は、その少女が流す雫を見ていて心の底から罪悪感を感じた。私なんかよりも、この少女の方が苦しんでいるはずなのだ。それなのに私は……と自分を恥じているうちに男は言った。
「わかったよ。俺の負けだ。君の言うとおりにしよう。でも約束してくれ。これから起こる出来事は誰にも言わないで欲しい。俺は君を助けたいだけなんだ」
そう言って男はポケットの中からあるものを取り出した。その手に持っていたものは一枚の写真とナイフだった。
「これを、君に渡しておくよ」と言って、写真を少女に手渡し、少女はそれを受け取った。
「これは……写真?」と、少女は疑問を投げかけた。すると男が「君の家族だよ」と言った。「そう……なの?これが……家族の……みんな……」そう言って少女は嬉しそうに笑みを浮かべた。
そして少女は男にこう聞いた。
「ところで……これって誰なの?」
「それはね……僕の妻だよ」と、彼は悲しそうに答えた。
「妻……じゃあこの子は……私の娘……なのかな……?」
「多分……だけど……そうだと思うよ」
「本当に!?やった!」と少女は歓喜に満ちた表情を見せた。
「君は、僕の妻の生まれ変わりかもしれない。だから……その……」
「なに?」
「もう一度、やり直したい。妻との思い出をまた作り直していきたい」
「つまり、どうすれば良いの?」
「この呪われた町を出て、新しい人生を歩み出してほしい。もちろん、一緒に来てくれないか?」
「分かった。行きましょう」
少女は、覚悟を決めたようにはっきりとした口調で言った。そして私たちはこの町を旅立つことにしたのでした。
「ちょっと待ってください。まだ終わっていないでしょう?」
そこで私は二人の会話に割って入ります。そして続けて私はこう言います。「もし仮にあなたがその呪いを解くことが出来るのならば、私の命を助けて欲しいんです」と。
少女は一瞬戸惑いを見せましたが、すぐに真剣な眼差しになって男の方を見つめると、その願いを聞き入れてくれました。
「わかった。その頼みを聞いてあげる」と、男は力強く言いました。
すると私の体から何かが抜けていきました。それはとても温かいものでした。
そして男は、ある呪文を唱え始めました。そしてそれに合わせて少女も詠唱を始めました。そして二人は手を繋いで、私の方へと近づいてきました。そして私の頭に触れようとした時、男の方に異変が起こります。
―ドクンッ 彼の胸からは大量の血が溢れ出していました。そして、少女はその光景を目の当たりにしても冷静さを保っていました。
すると次の瞬間、私の視界が歪み始めました。

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