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俺は妻に子供が目を覚ましたことを伝えると…

「あら!起きたのね、よかった…ならこれをもっていってあげて!栄養たっぷりのスープよ!コレを飲めばすぐ元気になるわ!」

妻はスープをよそうとスプーンを付けて渡してきた。

「お代わりなら沢山あるからね」

俺は頷くとスープを子供の元へと持っていった。

いつも通りのいい香りが食欲を湧かせる、さすが俺の妻だ。

子供の元にいってスープを差し出すが受け取ろうとしない…どうやら迷っている様子に俺は一口飲んで見せた。

うん!美味い!

すると正直な子供のお腹が豪快に鳴り出した!

俺はもう一度スープをひと匙差し出すと今度は恐る恐る啜ってくれる。

ゆっくりとスープを飲み出すと…飲んだ分程の大粒の涙を流していた…

涙を流しながらも飲む事を止めることなくスープを貪る様に飲んでいる…

俺は思わず涙を拭いた。

子供はスープを飲み干すと若干落ち着いたようだ…泣き腫らした赤い目で俺を見つめてきた。

上手く喋る事の出来ない子供はたどたどしくお礼を言うとここをすぐにでも出ていくと言う。

どうやら自分がここにいる事を良くないと思っているようだった。

俺はあんな風に道に倒れていた子が帰る場所がちゃんとあるのかと心配になった…。

帰る場所はあるのか…

子供に酷な事を聞く

すると子供は顔を曇らせ首を横に振る…

やはり帰る場所が無いようだ、ならとここでよければ居てもいいと言ってみる。

子供は言われた意味がわからなかったのか唖然と固まってしまった。

しまいには自分以外に人が居ないかさがす始末…思わずその仕草に笑ってしまった。

急な話にゆっくりと考えて見るように言うとまたベッドに寝かせる。

余程疲れていたのか腹も膨れた事で子供はすぐに眠りについた…

子供の髪を撫でていると…

「どうかしら?」

妻が部屋に顔を出した…

「今寝たところだよ」

妻は俺のそばに来ると子供の顔を覗き込む。

「可愛い顔で寝てるわね、こんなに可愛いのに…なんであんなに酷い格好で…」

「この子…帰る家がないらしい…」

俺が妻を見ると…

「ならここに住めばいいじゃない?」

俺は妻と同じ事を考えていた事に嬉しくなる…

「だな…」

俺は妻と微笑み合うと子供に笑いかけ部屋を出て行った。


次の日の朝早速部屋に子供を起こしに行くと、部屋のベッドのシーツが綺麗にたたまれ子供の姿が無かった…

「あれ?」

俺は部屋の中を探してみると…壁とベッドの隙間に子供が寄りかかりながら眠っていた。

その姿に可愛いやら、そんな所で眠る事に慣れてしまっていることに悲しくもなる。

俺は子供をだき抱えると起こさないようにそっとベッドに戻した…しかし子供は気が付き目を覚ましてしまう。

「う…ん」

目を擦りながら周りを確認していると俺と目があった。

「あっ」

子供は昨日の事を思い出したのか急いで立ち上がるとベッドから降りた!

「ごめんさい…よごして…」

そう言って汚れたベッドを怯えながら見つめていた。

「なんだ?そんなの洗えば綺麗になる、なんの問題もない。それよりどうだ?朝飯の時間だか食えるか?」

俺が聞くと、子供の変わりに腹の虫がぐぅと答えた。

「ははは!坊主の腹の虫は正直で元気だな!」

俺は笑うと坊主を抱き上げた。


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