バナー画像 お気に入り登録 応援する

文字の大きさ

「それ、気に入ったの?」
 ひょいっとミアが覗き込んできた。
「うん。綺麗だなって」
 ライラの手元をしげしげと見て、そして月を少しつついた。
「ライラの髪は先のほうが水色強いし、オレンジ似合うよね。ちょうどいいんじゃない?」
「うん。目立ちすぎなくて上品だと思う」
 シャウラも肯定してくれる。友達二人にも『良い』と言われれば余計に気に入ってしまって、値段も手ごろだったことも手伝ってライラはそれを購入した。袋に入れてもらったネックレスをバッグに入れて、良いものを見つけられたことに心は華やいだ。
 そのあとも雑貨を扱う露店のほうへも行ったし、手作りの石鹸や化粧品を扱う店も見た。結局三人ともいくつも買い込んでしまって「散財しちゃったー」なんて笑い合った。
 最後にお母さんへのお土産、ということで少し珍しい薔薇のジャムを買った。薔薇を煮詰めたジャムは薫り高くて、紅茶に入れるととても美味しいのだ。
 たくさんのものを手に入れたけれど、でもやっぱり一番の収穫は、最初に目に留まった三日月のネックレス。帰ったら早速つけてみよう、と途中でミアとシャウラと別れてから、ライラは家路へついた。

しおり