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気づくと、俺は屋上にいた。だが勇者学校の屋上ではないし、何よりそこから見えている景色が違う。青い海に緑の山。そして赤い空。ボクヨーにはそんなものはないし、空も黄色い。ここはどこなんだ?と、その時。
「よう、カラード。」
後ろから俺を呼ぶ声がした。聴き慣れた声。
「父さん……?」
振り向いた俺は訝しげに声を上げた。目の前に父がいる。死んだはずの父が。何故だ?

すると、
「安心しろ、カラード。お前はまだ死んでいない。」
父が声を発した。
「?」
「お前にはまだやるべきことがある。魔王の討伐だ。セバスチャンから話は聞いたか?」
「ああ」
「お前にはレンリンの成し遂げられなかったことをやってもらわねばならない。頼んだぞ。」
父が念を押すように言う。ん?祖父の成し遂げられなかったこと?って何だ?それを聞こうと口を開きかけたときには、父はもう消えていた。その代わりに目の前へいたのは
「一緒に頑張ろう!」
と明るく言う女の子一人だけ。
「えっと……。」
そう口を開いた時だった……。

「カラード様!」
その一言で俺は意識を取り戻す。覚醒しつつある意識の中で俺は奇異な感じに打たれた。さっきの内容が謎なのである。いた場所も、父の言葉の内容も、あの女の子も。それらを一旦意識の外に置いた俺は周りを見渡す。白い無機質な壁や天井。陽光が窓から射し込んでくる。ここは……、前の治療所か?ふとセバスチャンの方を向くと、その後ろに【聖剣】が立てかけてある。いまいち事態を飲み込めない俺は、セバスチャンに
「じいが、俺を助けてくれたのか……?」
とうつろに訊いた。あそこから俺が生きているとすれば、それしかない。しかし、
「何をおっしゃいますカラード様。あなたがコーホーを倒したのですよ。」
と言って、少し心配するような目をこちらに向けた。何だ?何がどうなったというのだ?
「じい、どうした?」
俺は訝しみつつ訊いてみる。

「カラード様が覚えていないのも無理ありません。」
セバスチャンにそう言われると俺も謎が深まっていく。
「何だ?どういう事だ?」
俺が訊くと
「実は……。剣が暴走したらしいのです。」
とセバスチャンは答える。俺が声にならない驚愕を顔にたたえると
「カラード様がコーホーに【永死信号《デス・サイン》】を打ち込まれる寸前、剣が赤く光って【永死信号《デス・サイン》】を受け止めたのです。私は驚きました。」
セバスチャンはそう続けた。

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