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17話~18話の裏話

目が覚めた時には、知らない場所にいた。
嗅いだことの無い匂いで溢れた場所には、当然恐怖しか無かった。

隠れられそうな所を見つけてうずくまっていたら、誰かいた。
口をパクパクさせている。すぐに手が伸びてきた。

「ーーーー!」

思い切り吠えた。怖かった、食べられるのかと思った。
誰かはすぐにいなくなった。



どれぐらいこうしていただろう。
明るかった空も、少しずつ暗くなってきた。
誰かがもう一度やってきた。
今度は睨み付けるだけで精一杯。

ぐぅぅぅ…

お腹、空いた…。
目が覚めてから何も食べていなかった。
どうしよう。狩りができる所、分からない…。

ふと、いい匂いがした。
顔を上げると、あの誰かが何かを持って立っている。
食べ物…だろうか。

警戒しつつも、そのいい匂いに釣られてこちらから近づく。
嗅いだことのある匂いと、嗅いだことの無い匂いが混ざってる。
嗅いだことのある匂いは、鳥の肉…だろうか。

木の棒みたいのに刺さったそれを、恐る恐る受け取る。
すぐに一歩後退するが、手は追いかけてこなかった。

鳥の肉に、かぶりつく。
食べたことない味だけど、それはとても、美味しかった。
夢中で食べた。すぐに無くなったけど、お腹は満足した。

チラリと誰かを見る。
食べ物をくれた誰か。ついて行けば、同じ物をまたくれるだろうか。
何でもいい。また食べたいと思って、差し出された手をそっと取った。


いつの間にか眠っていたようだ。
フワフワの何かに包まれている。木の葉で作った寝床よりフワフワだ。
どこにいるのか辺りを見回す。狭い…洞窟?空が見えるから違うかも。よく分からない。

ガチャリと音がして、思わず物陰に隠れる。
食べ物をくれた誰か…じゃない。でも、匂いは似ていた。
また何か口をパクパクさせている。
怖くてその場を離れずにいると、木みたいな物に何かを置いていった。あれも、食べ物…だろうか?

誰かに似ている誰かは、居なくなった。
食べ物?にそたぢと近づいて匂いを嗅ぐ。知らない食べ物。けど、食べちゃいけないと教わったものの匂いはしなかった。

手に取ってみる。…ママの耳みたいな形をしている。
ちょっとベタベタしてる。…一口食べてダメだったら吐き出そう。そう思って一口食べる。
気がついたら、無くなっていた。

それからしばらく。
また誰かがやってきた。
ガチャりと音がなった時に、何かが動いていた。
アレを動かせば、ここから出れるのだろうか。
でもすぐに、物陰に隠れる。

同じ物を置いていった。
今度は居なくならない。こちらを見ている。
近づいてこないのなら、大丈夫かな?
同じ匂いか確認して、同じだったからまたそれを食べる。
いつの間にか、誰かは居なくなっていた。

同じ事を何回か繰り返す。
次に来た時、誰かは誰かを連れていた。
ママと同じ匂い。けど、違った。ママじゃなかった。
また物陰に隠れる。
いつものやつが置かれて、またそれを食べる。
食べ終えるまで、誰かと誰かはずっとそこにいた。

食べ終わったのに、何だか、いい匂いがする。
ママと同じ匂いの、誰かからだ。
思わず近づいて匂いを嗅ぐ。何かを差し出してきた。
何かに鼻を近づけて匂いを嗅ぐ。
食べ物の匂い。少し硬かったけど、ママと一緒に舐めた、花の蜜のような味がして、美味しかった。

ママに会いたくなった。
どこに行けばママに会えるんだろう。涙が滲んできた。
ママじゃないけど…ママの匂いを追いかけた。

ママの匂いの誰かと、誰かと誰かが一緒にいる。
思わず誰かに抱きついた。
すごくびっくりしてたけど、少しして抱きしめてくれた。

抱っこしてくれたまま、どこかに移動する。
何かに繋がれた馬がいた。
ママ(仮)はその馬を撫でると、その後ろの何かに乗った。
ユラユラ揺れる何かが、眠気を誘ってくる。
ママの匂いに包まれてる安心感から、いつの間にか眠っていた。



目が覚めた時にも、ママの匂いに包まれていた。
けどママは居ない。怖くなってママを探した。
すぐ近くにいるみたい。匂いを辿って向かった先にママがいて、また抱きついた。
優しい顔で覗き込んでくれる。
1度手を離されそうになって、必死に抱きついた。
そしたらまた抱っこしてくれた。
そのまま何かをやっている。
しばらくして、足の上に乗っけてくれた。白い何かを持たされる。前のママが用意してくれたミルクと同じような匂いがする。

それを飲んで(やっぱりミルクだった)いると、何かが集まってきた。
蝶々みたいな羽のある、何かが…

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