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戦略ゲーにおけるユニット説明

 サロンに既にエリことエリエアル・ミュラード伯爵家令嬢と、ミエことベルミエッタ・サイランス侯爵家令嬢が顔を出していた。転生者会合……って言っても、この場にはフローラや役に立たない侍女ベル、そしてジュリエッタの5人だけだし、他の別格貴族達も同室には居たりはする。まぁ何にせよ久しぶりに顔を突き合わせる4人だった。ちなみにジュリエッタこと乙女様は転生元が違う世界からの転生者であるため、ゲームの事は知らないので今は別格貴族達と話し合いをしてる。

「ひさしぶりね、フローラ」

「ふん……」

「お久ー、エリさんにミエ」

「おま、エリエアルにはさん付けで私は呼び捨てっておかしいだろ!?」

「敬われたいならそれなりの態度を取れよ」

「ぐっ……」

 相変わらずミエにはキツイ喪女だった。

(いや、こいつ精神年齢ってが実年齢絶対年下なんだよ)

 賭けるか?

(あんたと賭けて何の得が……?)

 損得勘定でしか動かない、現金な喪女であった。

(もうその程度の事だと、怒るのも面倒臭い)

 ああ、俺の喪女さんがすれてしまった。

(あんたのじゃねえよ?)
「あ、そう言えばここらで動物見ない理由知ってました?」

「光魔法の影響で普通の動物が少ないっていう?」

「常識だろう?」

 ぷっ。常識だって。

(うっせーよこんにゃろう)
「……何かすんませんっした」

「そんな事より敵国の情報だ」

 ぷっ。触れられもしねえでやんの。

(じゃきゃあしゃあっ)
「あーそーっすね」

「なあに? えらくなげやりね?」

「マジで何でも無いっす。んでも、敵国の情報っつっても、大して無かったんじゃないっすか?」

「何だよその口調……。こちらに敵国の情報は大して無いとしても、続編をやった私達なら人相や性格位は分かるだろう? 何せ、自分がゲームの世界に生まれ変わってる、と気付く位にはゲームを熟知してるのだから」

「ああ、なるほど確かに。それはそうよね」

「既に人相書きに関しては、ジュリエッタ様に量産してもらうよう手配してもらってるわ」

「さすがミエさん」

「おいこらぁ!? それ思いついたのは、わ・た・し・だ! 手配を頼んだのも、わ・た・し!」

「なん……だと?」

「そこまでか? そこまでなのか? お前の中の私の評価は!!」

「いや、調子こきで思い上がってて知識チートまんせーって叫んでそうなイメージだったから。なんつーか、ガキっぽい?」

「ぬがあああああ!! 否定しきれないのが余計に腹立つ!!」

 否定しきれねえのかよ。

(そっちのがびっくりよ)
「一応実年齢聞いとく?」

「やめろ! 頭が上がらない気がするから嫌だ!」

「学生ね」

「学生だな」

「決めつけんなー!」

 そう言ってミエは頭を掻き毟る。残念な子だな。

(学生の子の中でも、特に頭の中がお子様な子って、すぐ言動に出たりするからねぇ。ある意味特権なのかな?)

 と、経験豊富なおばさんが申しております。

(歳の事は放っとけや)

「ああ、これその写しの一部だから、フローラも持っててくれる?」

「どれどれ……おお、写真みたいですね」

「光魔法の使い手に、記憶の転写魔法が使えるのが居るらしいの。最近光魔法使える人を集めてるらしいのよね? 転生者は大体光魔法使えるから、そこで発覚したんだと思うわ。多分後でジュリエッタ様からお話があると思うわ」

「マジっすか。私光魔法なら殆ど模写できるんですよね。多分転写作業手伝うことになるんだろうなぁ……」

「チッ……チート野郎が」「チッ……主役補正かよ」

 ダブルベルズの意見が合致した! 二人の視線が交差する! 目と目で……睨み合い、僅かに殺気立つ!

(え? そのフレーズで色っぽしたりしねえの?)

 いや、女同士で色っぽい展開ってなんだよ? あんたそれもイケる口なんだっけ?

(私自信はノーマルだけど、理解はある方だよ)

 ノーマルっつーか、そもそもそっち経験が壊滅的っつーか。

(放っとけや!?)

 何にせよ、こいつらは残念ダブルベルズだからな。色っぽいとかより劇画系の展開しか想像つかん。

(上手いなこんちくしょう……)
「はいはい、そこの残念ダブルベルズは喧嘩しないの」

「「残念ダブルベルズって何だコラぁ!?」」

「……上手いわね」

「「上手くねえし!?」」

 人の命名を掻っ攫いおった。

(あんたもたまには役に立つ)

 じゃあバモンクラッシャーも定着させようぜぇ?

(それは、い・や)

「話は終わったかしら?」

「あ、ジュリエッタ様。終わりましたよー。何でも記憶の転写魔法の持ち主が居るんですって?」

「そうなのよ」

「やっぱり転生者から見つかったんです?」

「それが違うのよね。意外な人物だから後で驚いて頂戴。紹介した後はフローラにも転写魔法を覚えてもらって、作業を手伝ってもらうわねぇ」

「意外な人物ねぇ……誰だろう? 何にしても了解でっす」

「……お前、皇子を除いて最高権力者とも言えるジュリエッタ様相手に気安過ぎんだろ……」

「心の友ですから」

「(クスクス)そうね」

 まだ何か言いたげなミエだったが、それ以上この件で突っ込むことは無かった。

「あ、そーだ。ミエとエリさんはどんな光魔法が使えるの?」

「私は陽炎だな。幻影魔法に近いかも知れん」

「私は物質化って言うのかな? 光の武具が作れるわね」

「おお、どっちも何か凄そうね。ゲームの設定通りなの?」

「いや、ゲームでは指揮官としてプレイするから、部隊の能力の底上げに魔法使ってた描写だったな。まぁその点を考慮すれば、ベルミエッタ・サイランスの指揮能力は回避力向上だったからゲームに沿ってると言えなくはないか」

「エリエアル・ミュラードは攻防力アップなので部隊全体の武具を賄ってたのかもねぇ?」

「ではメイリアは?」

「ゲームでは魔法反射だったはず。魔法を使うユニットには恐ろしく強かった。一方、それ以外の部隊には弱かったから、扱いが難しいって敬遠されてたと思うぞ」

「全く魔法を使わない部隊を作るのは、それはそれで難しい物があったけどね。というのも、3竦みから魔法は外れてるから」

 ここからエリによる続編の、戦花繚乱講座が始まるのだった。

 コスト  魔法兵>>騎兵>弓兵>歩兵
 攻撃力  騎兵>>歩兵=魔法兵>弓兵
 防御力  歩兵>騎兵>弓兵=魔法兵
 攻撃距離 魔法兵>弓兵>>騎兵≒歩兵
 連射性  騎兵=歩兵>弓兵>魔法兵
 相性   騎兵>弓兵>歩兵>騎兵の3竦み 魔法は全てに強い

「ちょっと待って? 騎兵って歩兵より弱い扱い?」

「単純にそうとも言えないの。騎兵は元々の火力が高いけど、歩兵は突っ込んでくる騎兵に対する武器を所持してるから、騎兵に対して火力が上がるってだけなのよ。具体的な例を挙げると分かりやすいかしら? 騎兵は攻撃60防御20としましょう。歩兵は攻撃30防御30とするわね。結果与える損害は騎兵側は30、対する歩兵の与える損害は10である、って事。だから実際には騎兵の方が強いわね」

「ただ、騎兵を作るより歩兵を作る方がコストが倍程低いからな。同じコストで作って相性も考えれば、概ね公式設定を踏襲した結果になるって話だ」

 この場合、数が倍になるから攻撃は倍だが、防御は一緒。数が増えれば殲滅力は上がるが、装備が増える訳では無いので防御までは上がることはない。単純に火力だけが2倍になるだけだ。

「魔法は最大攻撃射程を持ち、接敵時に置いて互いに最初の一撃目となるわ。更に防御もできないの」

「え? それ酷すぎない?」

「魔法は魔法部隊によってのみ相殺できるんだ。つまり部隊に魔法兵を置く理由は、相手の魔法攻撃を相殺するためにあるんだよ」

「なるほど……」

「魔法兵を多く取り入れた部隊が相手だと、メイリアさんは初撃を全部跳ね返す事ができるから無双状態よね。でも部隊には指揮官の特性、すなわち補正が入るから普通は強化されてるのよねぇ。魔法兵の無い敵部隊に、メイリアさんが弱いっていう点がここにあるのよ」

 つまり、メイリアは敵方に魔法を跳ね返す事を前提として魔法兵無しの部隊を組むこともできるが、相手も魔法兵無しの部隊だったとすると、メイリアの魔法反射は機能せず、ただ強化された相手部隊と戦うことになるのでキツイ、と。

「運ゲーに近いな。メイリアの存在ってのは、こちらにとってもあちらにとっても」

「ミエはそういうプレイしてそうだったのに?」

「私は搦手の方が得意なんだよ」

「ああ……納得」

「……一応聞こうか? どういう意味だ?」

「性格が現れてんなぁって」

「捻くれてるって言いたいのか!?」

「いや、無駄に頭使って小賢しいプレイが好きそうってだけで……」

「もっと酷ぇだと!?」

 割とミエも毒されてきたよな、喪女さんに。

(ええ? そうかなぁ……)

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