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1ー1 貴方がキラキラして見えたなんて、貴方が知ったら笑うかな?



咲良(さくら)は父の影響で小さな頃から小説を読むのが好きだった。

物語に没頭し現実に戻って来れなくなることもたまにある。

様々な作者のあらゆる努力の結晶が大好きで、友人とカラオケに行くか小説を読むかなら断然小説を読む時間が好きだった。

まあ咲良は人付き合いも大切だと思ってるし他人と騒ぐのも好きなタイプの陽キャだからもっと時間が欲しかった。

しかし、いざ異性と交際しても別れる際に言われるのは、大抵「俺と小説どっちが大事なの」だった。

悲しくは無かった。
小説の中の恋愛の方がワクワクするから。

自分は恋愛出来なくてもいいや。
そう思って、親友と同じ高校に入学したその日、咲良は猫背で一心に何かを書いている男子に目を奪われる。

何か、キラキラしたものを見た。

しかし、クラスメイトはみんな怪訝な顔をする。

「うわ、三神(みかみ)このクラスか……」

「……三神??」

『三神』と呼ばれた彼を知りたい。
咲良は怪訝な顔をするクラスメイトに問いかける。

「あいつ、なんか問題児?」

「いや、わかんない?めちゃくちゃ陰キャなんだよ。なんかずっとノートに文章書きなぐってるしさ、気持ち悪くない?」

中学が一緒だったというクラスメイトの女子は三神がいかに根暗なやつなのかという演説を始める。
三神にも聞こえてるんだろうなと思いながら全て聞いて、咲良はクラスメイトの輪から離れていく。

「咲良っち?」

「どしたん?」

ふわっ……
クラスメイトは何故かその微笑に恐怖した。

「……見た目だけじゃ人はわかんないもんだよ」

咲良はそういう偏見が嫌いだった。
だから、怒った。

咲良はクラスメイト達に背を向けスタスタ歩いていく。
向かった先は三神の席。
明るい髪色でピアスが複数ついている咲良が根暗な三神に何の用だ、もしやいじめか?とクラスメイトはざわつく。

「三神くん」

「……?!」

いきなり自分に話しかけてきた陽キャ、咲良にびっくりして肩を揺らし、三神は急いで机の上の、原稿用紙……?を裏返す。

「……な、なに?」

ビクつきながら三神は咲良を見上げる。

「何書いてるの?」

「……なんでもいいでしょ……」

「……小説?」

「…………」

裏返された原稿用紙からうっすら浮かび上がる文字列を見て咲良はピンとくる。

三神は何も言わずに視線を逸らす。

ニッ!!
咲良は満面の笑みで三神の机をダンと力強く叩き机越しに三神に顔を近づける。
三神は「ひっ?!」とみっともなく悲鳴を上げて固まった。

「ね、一緒に文芸部はいらない?!」

「………………は?」

こうして正反対の2人は距離を縮めていく。


ーつづくー

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