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デート?

 それから私達はデートに行くことになった。今日は断ろうと思っていたけれど、もう会ってしまったので成り行きだった。

 カズナリ君の運転する車に乗った。車運転できるんだ、と意外に思う。

「エコカーなんだね」

 音が静かで、スムーズに滑っていくように移動していく感じが良い。

「うん。レンタカーだけどね。空港に行こう」
「えっ、空港行くの?」
「うん」

 確かに職場からは仕事柄、空港が近かった。空港デートということか。なかなか楽しそうだ。

 同時に金曜日の夜に職場までわざわざ来た理由もわかった気がした。

 カズナリ君は多分飛行機が好きなのだ。なぜなら、見るからにワクワクしていた。結構飛行機好きの男の人って多いと、この業界に入って思う。

 しかし、ということは、これはデートではないのかもしれないな、と思い直した。カズナリ君にとっては、いつもの子どもたちとの遊びの延長線上なのかもしれない。

 そう思うと、デートだと思っていた自分がちょっとだけ恥ずかしくなった。

 それにしてはヒゲや服装がちゃんとしているのは謎だけど、もしかしたら私の職場の近くに来るから、人の目を気にして、気を使ってくれたのかもしれない。

 そんなことしなくても良いのに。

「サエさん、笑ってる?」

 いつの間にか頬が緩んでいたらしい。

「カズナリ君だって笑ってるじゃん」

 私が言い返すと「うん。楽しいもん」と無邪気に笑い返してくる。

 いつもも可愛いけど、なんだか今はキラキラもしていて、心臓に悪かった。

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