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口うるさい皇帝

 「雄介、お前は中に入った瞬間にココに飛ばされんだっけ?」
「あぁ」
「誰か近くに居ないのか?」
「居るには居るが、累達は少し待っていてくれ」

 雄介は古い船を迷う事なく進んで行った。 そして雄介が見えなくなると浩二はもう一人誰かを呼ばないのか聞いてきたが、累は呼ぶ事を拒否した。

 「呼ばない、か、探索だけなら頭数は多い方が良いだろ、ここの敵は死んだ奴の幻以外に居ても、会ったら逃げれば良い、ソレに、今のところは、魚も襲っては来てないしな」
「ほとんど誰も知らねぇし、借りはなるべく作りたくはない」
「俺の貸しは重いぞ」
「俺に出来る範囲ならやってやる」
「そうか、じゃあ俺も出来る範囲を」

 浩二は手帳を放り投げて累に返して候補を何人か出した。 分身を使える恋人、会話できるかは分からないが動物と話せ、動物の姿を模倣出来る法王、そして空から色々と探し回ってもらう悪魔。

 「世界で能力は三つまで使える様だし、もし呼ぶのなら法王を勧める」
「三つも使えんの?」
「ちゃんと読んどけよお前…… 他の能力とかもちゃんと見とけよ…… ってか、一応聞くが、歳上、だよな?」
「今は十七だ」
「一つ上でソレかよ、心配になってきた」
「お前は自分の心配しとけ」
「俺の心配の一部がお前に直結するんだよ……」

 浩二は頭を抱えながらこの先の事を色々と考えて一人ぶつぶつと呟いていた。 累は今は一人にしておいたほうが良いと思い、船を探索した。 道中、骨が有ったが、「骨あるんだな」とだけ思い、船を探索していると底が抜ける音がした。
駆け付けると其処には穴にはまった浩二が居た。

 「お前なぁ‼︎ 勝手な行動すんなよ‼︎ お前が死んで俺たち全員道連れとかになったらどうする気だ⁉︎」
「引き上げるからちょっと黙ってろ」

 浩二は引き上げる最中多くの愚痴を多く言っていたが当の本人は全く聞いておらず、テキトーに返事をしながら引き上げた。 途中、雄介が二人連れてきたが、そんなのお構い無しに浩二は話し続けた。

 「聞いてんのかおい‼︎」
「聞いてる聞いてる」
「何が有ったんだ?」
「コイツ単独行動しようとしやがった‼︎」
「実際したけどな」
「お前、ホンッット嫌いだわ!」
「勝手に嫌ってろ」
「喧嘩はやめようよ」
「喧嘩つうかコイツが何か言ってるだけ」
「テメェは黙ってろ‼︎」
「…… 何でテメェに指図されなきゃいけない」
「あの、私たちも自己紹介した方が良いですよね?」

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