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第3話ガチオタキモニート、またギャルに会う

あれから3日が過ぎた。
おれはまだLINEを送れずにいる。

理由は2つ。
一つ目はコンテスト用のラブコメ漫画を描くので忙しい。

間も無く新人作家の登竜門とも言われるコンテストがあるため、できるだけここに時間を割きたい。

二つ目が最も重要なのである。
何を隠そう、俺の名前がかっこよすぎるのだ。
超絶怒涛の三軍ぼっちな俺には
分不相応な名前。
"綾小路美幸"(アヤノコウジミユキ)

自分で言うのもあれだが
名前だけならアイドルや俳優でもいける。

しかし俺の顔はあまりにも普通すぎる。
関ジャニで言うと村上信五。
ゴレンジャーで言うと緑レンジャー。
ラブコメでいうと第一話だけ出てきて
ヒロイン紹介をする情報通のクラスメイト。

なのに名前だけ主人公なのだ。


今までLINEのお友達リストには父、母、妹、菅田将暉のbotの4人だけ。
なので本名で登録をしていた。

まさか、俺の人生において、リリカさんのようなキラキラ一軍女子さんと
連絡先を交換するというイベントが起きるなんて思ってもいなかった。


今から名前を変えてもいいのだが
家族に「名前かえたのなんで?」って聞かれるのが恥ずかしい。

「ま、いいか。とりあえずコンビニ行こ」

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私は大学から徒歩15分ほどのコンビニで
数日前からアルバイトを始めた。
シフトは週5で入っている。

以前は居酒屋で働いていたが、酔っ払いに絡まれるのがウザくて辞めた。

他にも雑誌のモデルや、サロンのモデルもしているが
正直あんまりお金が良くない。
だけど日払いなので、すぐお金が欲しい時だけ行っている。


自分で言うのもあれだけど
私は周りと比べて綺麗なんだと思う。
だってモデルのスカウトをされるんだから
きっとそうなんだと思う。


服やコスメはモデルの仕事の時に貰ってる。
だから正直、私はあまりお金がかからない。



インスタ映えも意識してない私は
果物をコップにぶち込んだだけ、みたいなパフェも食べなくていい。

それなのにわたしが
シフトをいっぱい入れる理由はただ一つ。


"とにかく家が貧乏"




パパは私が小学校六年生の時、肝臓癌で死んだ。
なんとなくそんな気はしてた。
だって下町のナポレオンを朝から直飲みしてたから。

ママはそんなパパからの暴力で足を悪くした。
結果的に働きに行く事ができないママの代わりに私が働いてる。

辛くないのかって?

ぜーんぜん辛くなんかない。

ママは自分の代わりに働いている私に
申し訳なく思っている。

私が玄関を開けて家を出た後すぐに
啜り泣く声と一緒に「わたしのせいでごめんね」って、しょっちゅう言っている。

きっとママの方が辛いんだと思う。

来年には弟が高校生になる。
ぼっちで根暗で気弱な弟には楽しい学生生活を送ってほしい。

よって!私は頑張るのである!

(ピンポーン)

「いらっしゃいま…せ!?」

「あ、ども」

「いや、LINEしろよ早く!!」





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