第六話
楡浬がそう言った時、楡浬と福禄寿が額から正面衝突した。
「いたたた。三人寒女!?」
「神見習い!?」
「「「その呼び方、寒いんだけど。」」」
ハモリながら睨み合いする三人寒女と楡浬。
「このババたちは何しに来たのか、ぶつかった瞬間に忘れてしまった。」
「コトブキちゃん。やっぱり痴呆症だぁ!」
「違うわ!・・・目的は何かだったかのう。」
寿老人が首を傾げているうちに、火はさらに強くなってきた。
それを見た大悟。この三人は助けになるはずと考えた。
「ど忘れにはショック療法ですわ。」
「たかが人間風情が何をするんだよぉ。」
「ええい!」
大悟は洗濯したシャツを干す前に叩く時のように、楡浬の浴衣を開帳。
「きゃあああ!」
「スゴい!」
福禄寿は大興奮して、思わず寿老人の浴衣の中に潜り込んだ。
「げぼー!」
「恥ずかしい!でも思い出したぞ!」
寿老人は五百円玉を楡浬の口に突っ込んだ。
「禁じ手。神による神頼みじゃ!この世界を元に戻してくれ。」
「いきなりなんなのよ!でもそれって、すごくうれしいわ。アタシもこれで神セブンの仲間入りね。」
「そんなことあるか!でも神楽天ポイントは確実に高く付くぞ。神頼みは真実じゃ!」
「その願い叶えるわ。」
楡浬は御幣を紙が破れんばかりの勢いで振り回した。
空間全体が、水に垂らした絵具を筆で回転させるように、ぐにゃりと大きく曲がったように見えた。
【イタイ!イタイ!イタイ!】これまでにない大きな音ならぬ声が聞こえた。