第七話
、大悟、楡浬、衣好花、三人寒女は神鳴門高校の校門前にいた。
登校路の生徒たちは二人組ペアを構成している。馬となっている白いセーラー服と椅子に座る黄金色のブレザーである。大きな鳥居型の校門では神頼みする馬女子生徒。
セーラー服姿の大悟は自分の胸をまさぐっていた。
「胸がなくなった。やっと元に戻ったぞ。無事に男子復帰を果たすことができたんだ!」
楡浬は大悟と反対にオッパイが復活していた。
「これがアタシのシンボルだったんだから。これで堂々と世間を歩けるわ。アタシの行く道を阻む者はいなくなったわ。天下を治める時代が到来したのよ!」
「それは神通力によるダミーだろ。世間の眼は誤魔化せても、オレの眼はそうはいかないぞ。」
「うるさいわね。馬嫁下女が汚い口を閉じておればわからないんだから。永遠の閉口を人生の最終選択肢にしたいのかしら。」
「それは少しイヤかな。」
「それは肯定のサインなの。ならば、お望み通りにしてやるわよ。」
「ちょっと待ってくれ。軽くない冗談だ。もう下女じゃないし。」
「「あははは。」」
思わず頬を崩すふたりを平和な空気が包んでいる。
ふたりを無表情で見ている寿老人。
「これが第一回ビッグバンの世界じゃな。誰かが第二回ビッグバンを起こしたんじゃ。いや、起こしたんじゃな。」
「コトブキちゃん。同じことを2回言った。元に戻ってもボケ?」
「同じではない。眠っていたものを起こした、目覚めさせたようじゃな。空間は完全なる再構築はできない。ひずみがどこかにある。」
弱い風が吹いて、大黒天のスカートが軽くめくれた。
「きゃあ。おふくちゃん、見てはいけなどす!」
「・・・。」
福禄寿は大黒天の言葉に無反応であった。
衣好花が周囲を何度も見て、何か違いがあるのかを方向感のないまま探している。
「どこでござる?わからないでござる。の字。」
「泥ドロンジョ。言葉が不足しているわ。」
「いえ、まともでござる。の字。」
「ほら、漢字2文字が出てないわ。」
「で、出ない。浮かばないでござる。の字。」
「泥ドロンジョ、額に傷がついてるわ。」
「周りをみろ!異常だぞ。前とは全然違う世界じゃないか!」
大悟が指さす必要がないほどの非日常性。