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第二十七話

「やっぱり音を奏でることができませんわ。落第生という無人島には、助け舟を出しませんわよ。楡浬様、からだの姿勢もよくなくてよ。」

厳しい口調で責める大悟は、楡浬の首をさわる。

「ひゃあ!」
思わずのけぞって、背中が伸びた楡浬。

「ほら、そのまっすぐな背中で声を出すのにいいんですわ。」

そう言いながら、大悟は楡浬の背中を軽く擦る。

「ひゃい、ひゃい、ひゃい!」
奇声を発しつつ、伸びた背中がのけぞる楡浬。

「ちょっと背中を伸ばし過ぎですわ。これでは、腰に負担がかかりますわ。ポンポン。」

「ひゃう、ひゃう、ひゃう、ひゃう~!」
腰を叩かれた楡浬は白目を剥いてプチ絶命した。

「何ともだらしないですわね。これぐらいで気絶するとは。アイドルになりたいという気概がまったく不足してますわ。背伸びするための準備がまだまだですわ。鉄は熱くならないうちに打ってもダメですから。」

三年座り続けた石を貫きそうな強い視線で、楡浬を責める大悟。
倒れ込んだ楡浬をじっと見ていた衣好花。

「いつの間にか、楡浬チャンもアイドル修行してんのォ?えすかも負けられないよォ。でも楡浬チャンにはイジメてほしいのにィ。希暴の字~。」

水玉の袖を噛む衣好花であった。

この日の大作戦は楡浬のリタイアで終了した。

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