バナー画像 お気に入り登録 応援する

文字の大きさ

第3章の第98話 どうしようもない問題25 7月、間違った情報工作された船





【カジノ】
【間違った情報工作された船とは!?】
――イチハさんは、こう問いかけてきた。
『――間違った情報工作された船とはなんですか?』
と。これに対して、答えてきたのは、綺麗なドレスに身を包んだ婦人だった。
『ループです』
『ループ……?』
『はい、グルグル回る円環、そうループを強いてくるのです』
『……』
『抜け出せない箱庭を。
その箱庭の門(ゲート)は、あの学校なのです!
それは、まるで、抜け出せないループのような輪となって、標的(ターゲット)たちに強いてくるものなのです!
人の噂話が立っていた以上、それはどこからか持たされたもので、
もしも、仮に、その校内で知り合い関係がいれば、興味本位で集まり、あーした事、こーした事、どうした事の話題が立っていたのです。
それは、必ず、どこかで人垣が集まっていたもので、男女複数人が集まり、
別の誰かを介し、隣の教室まで話題性が飛んでいくもの。
その校内で、ヒソヒソ話が立ち、人知れず広がっていったわけです――』


★彡
【職業訓練校時代、6-12】
――それは廊下や校舎の外で上がっていたヒソヒソ話だった。
『~~!』
『~~!』
男女複数人が集まり、昨日会った事や今日あった事などの話題が上がっていた。
その中には、クラスの人物名が飛び出すものがあった。
その場に、ヨーシキワーカが歩み寄ると。
その者達は、一時、ピタッ、と話題が止まるが、別の話題にすり替えてくるのだった。
『でさー!』
『あぁ、そっかー!』
『……』
その話題の人物が近くいると、聞かれると困る事があるからなのか、わからないが。
人が多い事もあって、上手く上手く別の話題に切り替えていったものだった。


★彡
【職業訓練校時代、6-12】
――設備管理科で上がっていたヒソヒソ話だった。
『あの月見エビバーガーオーロラソース社の中から、連絡が回ってきてさ、あいつなんか早くね?』
『あぁ、やっぱそう思うか……あんだけ早いとどうもなぁ……怪しいだろあれー!?』
その設備管理科の自動ドアが動き、廊下から教室の中に、足を踏み行ってきた者がいた。
それは、ヨーシキワーカだった。
『……』
それを認めた人達は、ピタッ、その話題を取り止めたのだった。
ヨーシキワーカの足は、そのまま、自分の席へ向かい、その机の上にリュックサックを置くものだった。
中から、ユニットテキスト等を出していく。
(誰も、自分に話してくれないか……?)
この時、正直に話してくれれば、まだ違った未来が待っていたのかもしれない。
当然、こんな事が続ければ、精神的におかしくなり、自己主張が目立ち、人の悪口を言ったり、会社の悪口を言ったりしても、おかしくはないものだった。
まず、人は黙っているものではなく、返って目立つ事で、そこから注目の視線を浴び、そこから何かしらの情報が持たされるものと期待していたが……。
残念ながら、それはなかった……。
イリヤマ先生、ライセン先生、ヤマグチ君からの要領を得ない説明を受けただった。
少なくとも、この6ヵ月間で、期待したほどの価値ある情報はなかった。


★彡
【カジノ】
――綺麗なドレスに身を包んだ婦人さんはこう語る。
『――ですが、その人達に置いても、電話伝いやメール、人の噂話によって、持たされたものでしかなく、
なんとも要領を得ないものでした。
それは、外部者という者のものの視方でした。
ですので、あの中の事がよくわからず、何とも確証を得ないものなので、事実確認も、何も、できていなかった訳なのです。
あくまで、自分たちの知り合い関係を通じて、その中の様子が、持たされたものでしかない、という訳なのですよ?」
『……確かに、道理やわぁ。
外からじゃ、事実確認も、何もできひんしなぁ。
自分等の知り合い関係を通じて、物事の道理を、並べ替えて、推論し合っていた訳やな!?』
『ええ、ですが、その時には、本人は語り継がずに、
自分たちで、推論を立てて、『先に事実確認』を取ろうとする、『悪しき風習』が行われていた訳なのです』
『は!? どーゆう事やそれ!? 『こうも一方的や過ぎやせん』か!?』
『何も、一方的という訳ではないのですよ?』
『へ?』
『月見エビバーガーオーロラソース社の中には、200人以上の従業員が在籍していまして、
当然、その中には、親や兄弟や親族関係がいて、当然なのです。
その兄弟からの申し入れもあり、各会社間へ伝わって回り、物事の道理が、おかしくなってきたわけなのです。
そして、ふとした拍子に、こーゆう事が起こり得る訳なのです……』
『……!』
『それは、そうした話し合いの話の中に、自然と入り込み、
その『噂の原因を聞きつけた』と言い、『騒ぎの原因を持ち込む人物達が出てくる』という訳なのです!』
『……ッ』
『それも、1人ではなく2人、それが、闇子、かけ子、呼子と言われ、その中には、必ずといって良いほど、
火種を持ち込む人と、その話に上手く便乗にするようして、話のウマを合わせてくる共謀者がいたわけなのです!』
『それで……!?』
『はい! その時に、あーだこーだとするその人の事を悪く言う物言いがあっていた訳なのです。大概は……。
『あいつが辞めたせいで、仕事がきつくなった』
『作業の負担が増えた』
『夜勤勤務まで、シフトを回された』
『何で、正社員(自分達)まで駆り出されんばいけんとや!? こんな事有り得んぞ!?』
『な、何であたし等まで駆り出されんばいけんのよ!? う、腕の腱鞘炎が増えだした……手首が痛い……』
――等々です。しかも……。
『やけに音がうるさいのと』
『あの音がこっちまで響いてきて、ものが揺れてるわ』
『壁や床や天井から、水漏れが』
『これは、壁を取り壊してから、原因を当らんばいけんのぅ!?』
――等々です。
大概は、昔の会社を通したものなので、そこにいた各従業員達の物言いでした』
これには、イチハ様も。
『……あなた、よく知ってるわね……』
『えへっ』
とそこへ、アストル選手が。
『女性の情報網は、私達男性陣と比べて、強力だからな……』
これには、テラコルさんも。
『ああ』
と頷き得るほどだった。
奇麗なドレスに身を包んだ婦人さんは、こう続けたわ。
『それが、責任話の取り付け話に結びついていったわけなのです……!
そこへ、その噂を聞きをつけた対象がいて、どのように動くと思いますか!?』
『……』
『自分のこうした、あーしたの風評被害が出ていれば、たまらず精神がおかしくなっていき、かき乱されて、突っかかって行きかねませんよね!?
いつもこれで、毎度の事ながら、負けている人の割合が多いものなんですよ!?
そう、その標的(ターゲット)を『逆切れ』させることが、狙いなのです!』
『逆切れ……させることが狙い……!?』
『はい。そうなのです!
よくそれで、責任を負わされて、その昔の会社に呼び戻されている人達の割合が、多いぐらいなんですよ!?
だいたい、70%から80%辺りぐらいでしょうか?』
『……』
そうやって、いつも、負けている訳だ。
奇麗なドレスに身を包んだ婦人さんは、こう続ける。
『あそこは、学校という学び舎なのですからね。
彼等彼女等が出て行った先には、それは――いくつもの企業が控えている訳なのです。
ふとした拍子に、彼等彼女等が、連絡を取り次いで周れば、その標的(ターゲット)は、ホントにどうしようもなくなってきます。
向こうは、正論を振りかざすだけでよろしいのですから!』
『……』
これには、イチハ様を推しても、青ざめるほどだった。
完全に、正論である。
綺麗なドレスに身を包んだ婦人は、こう告げる。
『……まぁ、幸いなことに、ヨーシキワーカ氏は、その辺は心得ていましたから、そうした輪の中には、突っかかって行きませんでした……が!?』
『……』
これには、イチハ様も、ホッ……、と胸を撫で下ろすほどだった。
『ですが……。突っかかって行かなかった代わりに、人の噂話が、過剰になって蔓延していった訳なのです。
そうした話にも、尾ひれはひれが付いていって、それが、行き着く先は――』
チラッ
と奇麗なドレスに身を包んだ婦人さんは、テラコルさんに、アイコンタクトを送るものだった。
コクリ
とテラコルさんは、頷き得、こう語るものだった。
『――そして、伝わってしまった……』
そこへ、アストルさんが、
『あぁ……』
という相槌の声を入れて。
テラコルさんは、こう語っていくものだった。
『何よりも強力な情報網を持ち、講師という権力を持つ、ドクターイリヤマ氏に!
そして、それは、その学校から旅立っていった元職業訓練生たちやその周りの先輩たち。その会社の同僚の幹部たちに……!』
アストル選手は、こう語る。
『そして、そのドクターイリヤマ氏のバックには、職業訓練校という協力な後ろ盾があったのだ。
そして、その後ろにも、また、地方の納める県知事(アメリカ州の知事)という権力者のバックがあったのだ!』
これには、思わずアサヒさんもサクヤさんも驚く。
『なっ!? 州の知事だと!?』
と。アストル選手はこう語る。
『そうだ! その頂点! その首相(アメリカ大統領)が建築業組合を母体として発展してきた高等技術専門校でもあるからだ!
半官半民組織といってな。国の行政の力が、官僚の力が、あそこに働いているのだ!
大概は、天下りのシステムが、強く働いていた理由(わけ)だな!』
『……』
震撼しかなかった……。
――アストル選手は、続けてこう語る。
『――そのハーバード大学姉妹校に属する職業訓練校には、
その学生さん達が学ぶ上で、必要な教室と、技能面を培う上で必要な実習場があるのを知っているか!?』
それは、ほとんど誰もが知っている事柄だった。
呟き返すは、アサヒさん。
『あぁ……』
彼、アストル選手はこう続ける。
『ドクターイリヤマとドクターライセンの2人は、医学講師という肩書上、そうした医師の卵を育てる事で、必要な事をわかっていた……!
それは、優秀な医師(ドクター)1人の力だけではダメであり、
その傍らには、医療機械の総合メンテナンスを行える生徒を、今のうちに見繕っておくことだった……!
目を付けたのは、そーゆう極めて優秀な、一握りの生徒達だった……!
そこに、ヨーシキワーカ(あの人)は含まれていない……』
対象外だと、言論にそうアストル選手は述べたのだった。
次いで、テラコルさんが。
『そして、間が悪い事に、ヨーシキワーカ氏が以前勤めていた会社から、急な報せが入ったと聞く……――』



【職業訓練校時代、7月】
【(1)昔のパン会社 箱洗いは全員パート作業員】
――そこは、職業訓練校の配管の実習場だった。
配管並びにそうした機械があり、ここに通う生徒達にとっては、技術面を学ぶ上で、貴重な演習場だった。
そこにいたのは、設備管理科の講師の方と生徒達。
その中には、ヨーシキワーカの姿もあった。
そして、その陰で、ドクターイリヤマとドクターライセンの暗躍があったという――
そして、この話は、それは何度も、イリヤマ先生達がいて、先方と誤った形で取り次いでいたから、変な話になってこじれていくのだった。
予定なんて、最初から何も立てておらず、その時の勢いだけで、口走っていたからだった。

ドクターイリヤマは、周りに怪しまれない形で、腕時計型携帯端末(フューチャーウォッチ)を操作し、顔出しNGに設定していた。
今、宙に浮かぶエアディスプレイ画面の向こうの相手の顔は、こちらからでは伺えない。
それは、ドクターイリヤマの一驚から始まるものだった――
『――全員パート!? どーゆう事だ!? そっちの労働基準の体制はどうなってるんだ!?
待ってろ今、労働基準監督署にこっちから電話を一報入れてやる!!』
――それはとても攻撃的なものだった。
それは俺の性格を如実に表しているもので、現場で培った知識と経験、卓越した技能がそうさせるからだ。
俺は、医学講師であるプライドを、誇りに思っている。
病院内では、秩序が保たれていて、そこに例えパート従業員がいようが、その中には必ず、責任を負える立場の者、そう正社員がいて当たり前だからだ。
……だが、このエアディスプレイ画面の向こうの相手は、そこに正社員がいないという……。訳がわからない仕組みのものだった!?
それは一般的な社会性にとって、法的手続きを踏んでいないからだ。
普通こんなのは考えられない!? 一体全体、どーゆう事だ!?
そのエアディスプレイ画面の向こうの相手は、こう切り返してきたんだ――
『――言えそうじゃなくて!?
今そちらにいるヨーシキワーカ君を、こっちに呼び戻して下さいませんか!? そのほんの一時的でいいんです!!』
【電話の相手は、女の声だった】
【声のトーンが高いという事は、さては身長が低いな……】
【これは人体の構造理論だが、声帯から発せられる声のトーンには、大別して2種類あって】
【身長が低くければ、声のトーンが高く】
【逆に身長が高ければ、声のトーンが低いものだ】
【まぁ、個人差があるが、概ね当たっているだろう】
【だが、呼び戻して欲しいとはいったい――!?】
『――何ッ!? どーゆう事だ!?』
『その子がいなくなってから、こっちもどうなってるのかわからないんです!! その子がいた時には、まだ!! こんな事にはなってなかったんです!!』
『い……いなくなってから……!? ど……どーゆう事だ!?』
ドクターイリヤマ(俺)が、そう言葉を切り返すと。
電話応対の相手は、こう切り返してきたんだ。
『機械の『騒音がうるさく』て、『振動』が伝って『隣の壁』から……ッ!! 周りにもうるさいと『苦情の声』が出てるんです!!
しかも度々、機械が故障してて、工務の方が対応に当たっているんですけど……。
以前のように『売上高』が戻らないんです! 何とかしてください!!』
『ッッ!!』

ナレーションでクリスティさんが、こう語る。
【――ここで電話応対をした人が侵したのは、自分たちの立場から見て、物事を言った事よ……!?】
【奇しくも、上と下があって】
【電話をしたところと、その作業に当たっている従業員達とでは、微妙に偏見と誤解を招いてしまう事が、ままあるからよ……!?】
【いわゆる伝言ゲームの取次ぎ上の誤りね……】
【それが、今回、裏目に出て……マズイ相手に伝わってしまったのよ……】
【そう、ドクターイリヤマとドクターライセン達にね……】

『――売上高……その額……い……いったいいくらぐらいだ……!?』
『その子がいなくなってから……こちらでも把握している限りで、
600万円(45455米ドル)から800万円(606061米ドル)……。
それも毎月、ここにいる従業員達に支払いますから、
翌月にはそれを超えて、1000万円(75758米ドル)に上るかと……!? 今もまだ増え続けています……』
『い……一千万円(75758米ドル)~~ゥ!?』
『そんな大金が、あの人がいなくなってから起きてるんですか!?』
その声を上げたのは、隣で見聞きしていたドクターライセンだった。
『……はい……』
電話口の相手は、そう、その重い言葉に詰まりつつも……飲み込み、ようやく吐き出せたのは、その一言だった。
『……ッ』
『……!! もう犯人で決まりでしょう間違いなく!! どう言い繕っても、言い逃れができませんよ!! 僕だったら、許しませんよッ!!』
『まったくだ!! あっちが大変な目に会ってるのに、あいつは平然としてやがる……!! これは凝らしてめてやらんといかんなッ!!』
『痛く、同感ですッ!!』
ドクターライセン(僕)達2人は、痛烈な思いで、このエアディスプレイ画面の向こうの相手の意見を尊重するのだった。
前にもそうした生徒さんがいたからだ。
……だが、返ってきた一言は、とても意外なものだったんだ――
『――いや待って……!? 『その子じゃなくて』……ええと何て言えば!?』
(まさかそこに2人いるの!? しまったわ……!? 電話先の相手は、ドクターイリヤマ氏だけじゃなかった!?
いっいけない!! 対応に、言葉に詰まるわ……ッ、え、ええとっ、何か、何か言わないと……!?)
その対応に苦慮してしまう思いの電話応対の女性の姿があったという。
こんなのは突然なので、しどろもどろになっても、その道理上、何もおかしくはないのだ。
加えて――
『――ここに通っている以上は、何らかの責任を負わせないといけんだろうがッ!! 何を甘いことを言ってるんだあんたはッ!!』
『いや、だからちょっと……ッッ!?』
――だけど、強面の恐い先生が、こう上からモノを被せてきて、あたしのそうした意見を塞いでしまったの……。まさかこんなハズじゃあ――
ブッツ……
と宙に浮いていたエアディスプレイ画面が消えるのだった。
『フンッ!!』
俺は聞くに絶えないとばかりに、向こうとの会話を、強制切断したんだ。
そして、続けて、こう断言の意を示す。
『まるで話にならんッ!!』
『まったくですよッ!!』
そこには、同意の意を示すドクターライセン(僕)がいたんだ。
そして、向こうから一方的に、強制切断された相手は。
――月見エビバーガーオーロラソース社、総務課。
『――あぁ……もうっ!! 『言いたいことが違う』のに……もうっ!? 何て言えばッッ……!?』
『やっぱりダメだったんですか……!?』
『ええ、ヨーシキワーカ君がそこにいるって事は、ここにきて、あの時言ってたんだけどね……。』
『ああ、あの時あったな……FP(ファイナンシャル・プランナー)がなんとか、ふざけた事抜かしやがって……ッ! あいつめ……ッ!
こっちはお前を今まで大目に見てきてたんだろうが……ッ!!』
そこには、ふんぞり返る人がいたのだった。
『じゃあ、こちらから電話回線を飛ばして、周りの人達に取り次いで周りましょうか!?』
『そうしてくれると助かるわ』
そして、TV電話回線を通して、知り合いのいる各々の企業へ取り次いで周る動きになるのだった。
そして、こんな会話が流れる。
『……やっぱり、あの子がいてくれないと無理よっ!?』
――夢見渡り。
世界樹の樹上にいたヨーシキワーカと守護霊の彼女は、その水の塊に触れる事で、向こうから抱き着いてくるのだった。
トッ
夢の中、その現場を視察する。
(なるほどなぁ……)
(帰るよ……お兄ちゃん……)
(ああ、わかった……)


☆彡
【言いたいことがあっても、電話口では上手く伝わり切れない】
【また、同じ会社の身内の人が、取り次いでいた例もあるため】
【過去に別の人を通じて、そうした履歴があれば、その人の意に勝った話に転じてなり易くなり、それは思わぬ誤算に発展いってしまう可能性も!?】
――過去から現在に戻り、エメラルティさんが、こう語る。
「――言いたいことあっても、違ったそうよ!?
電話じゃどうしても、誤解と偏見を招いてしまう事が、時には起こり得るからね……!?
それは、取り次いだ先の相手如何により、その後の応対の変化が、顕著だからよ!」
次いで、サファイアリーさんが、こう続ける。
「そして、その電話をした女性は、おそらく総務課の女性の人、メガネをかけた人で、小柄の人だと思うわ……。
ヨーシキワーカさんの読みでは、60%ぐらいの予測で……!」
次いで、クリスティさんが。
「つまりは、顔見知りだという事よ!
そして、その女の人ですら、その同じ会社内にいる、影の仕掛人の動きすら把握していなかった……!?
これが思わぬ誤算に発展いってしまうのよ!
そう、同じ会社内に、強力な人脈を持っている娘(こ)がいたのよ!
ちょうど、そう、総務課の偉い立場の人のオオ……なんとかさんの奥さんに当たる人ね!」


★彡
【職業訓練校時代、7月】
【(2)昔のパン会社 箱洗いは全員パート作業員】
【その昔の会社で、見え隠れするあの娘(こ)!?】
――それはエアディスプレイ画面を通して、顔の見えない相手とドクターイリヤマが取り次いでいた時の話だった。
その頃、ヨーシキワーカは、みんなと一緒に、配管のネジを切っていた。
ギィゴ、ギィゴ、カラン……
と切れた配管の一部が、床の上に転がる。
それを手に取ろうするヨーシキワーカ。
『……!?』
その怪しい声に気づく。
それはドクターイリヤマと顔の見えないエアディスプレイ画面の向こうの相手との会話だった――
『――ここから俺が観てる分じゃ、あいつは優秀な方だ……!! お前等いったいどんな教育したんだ!! 言えッ!!』
『こっちは何も教えてませんよ……! そんなの本人が勝手にここを辞めて行ったせいで、今、こんな状況になったんですから……!!』
『よーしっ!! わかった!! じゃあ、あいつに『責任』を負わせてやるッ!!
だから、『その金をこっちの方に少し回せ』!!
そっちの方で雇いなおせば、『それぐらいできる』だろ……!?』
『……』
ここで、微妙な間が流れて、あっちの方で打ち合わせが行われていた。
おそらく2人以上の会話が、あっていたハズ。
それは、ドクターイリヤマ(相手方)の同意の関心を買うものだった。
『……ええ、ええ、そのお噂は、兼ねがね、こちら側の方にも轟いております!
できれば、今後とも、私共としましても、あなた様のような力強い方と末永く、良好な関係を築いていきたいとも思っておりますが!?』
『フフンッ! ……まぁいいだろう』
『では、そのようにして手筈通りにして、参りたいとも思っております。私達職員一同!』
ガタガタ
『……えっあれ!? 待て待て!? いったい中でどがんなってとや!? どうして何で、そんな奥まった方からこんなにも聴こえてくっとや!?』
『~~! ~~!』
『~~! ~~!』
『えっ、取り止め……!? まるで話にならん!! ふざけるなッ!!!』
『……』
フゥ……
これにはヨーシキワーカ(俺)も、嘆息する思いだ……。
(あいつ等、何やってんだ……!?)
それは顔の見えないエアディスプレイ画面を通して、ドクターイリヤマ達が取り次いでいた話だった。
少なくとも、先の話と会わせて、電話相手は2人だった。


☆彡
【本人を介さない場合、結局はロクなことにならない】
過去から現在に返り、語るはサファイアリーさん。
「――この時、ヨーシキワーカさんは、自身の事じゃないと思い、その話を聞き逃したそうよ……!」
「あぁ……」
「なるほど……それでかァ……!?」
そこには納得の思いの一同の姿があったのだった。……大概、普通はそうである。
次いで、語るは、エメラルティさん。
「そして、もう1つ! その電話応対してきた人も、一瞬は、口をつぐんだそうよ!?
さすがに、これは『人選ミス』だったかもしれないと……!?
けど、周りの人達の声に促されて、そうなってしまった……」
そこへ、アヤネさんが。
「集団、多数決の意に買ってしまった理由(わけ)ね!? 周りの人達の声に急かされて……!?」
「ええ、そうよ! そのヨーシキワーカさんが職業訓練校へ行った事で、そこにいたドクターイリヤマに目を付けられたかもしれないと……!?
次いで、語るは、クリスティさん。
「安直にそう思ったわけね……! そうした危険要素を感じていたのよ!? ……でも、そうはならなかった……!」
「……」
「生産の行程の流れ作業上、どうしても引き戻したかったという、固定観念が働いていたから!
身勝手な、わがままな、立ち振る舞いに発展していったわけよ!?
その時から、本人を除け者にしていってね!
だから、そうなってもおかしくもなんともなかったの! ……わかる!? この意味が!?」
「……」
僕達、あたし達、私たちは、考えさせられる限りだ。本人を、除け者にしてはいけない。
クリスティさんは、続けてこう語る。
「あちらの意図は、本人を介さずして、周りから気づかせられるようにして、振り向きさせたかった……!
けど、お金周りの話がつけば、道理上、そもそもそんなものは無理なのよ!
それが、責任話の結びつき……!!」
「……」
次いで、語るは、サファイアリーさん。
「……まぁ、実際のところ、例え、ヨーシキワーカさんが戻ったとしても、以前のようにはならなかったでしょうけどね!?」
そう、断言す。
「だって――既に辞めた当時には、『悪循環』だったんだから……!!」


★彡
【職業訓練校時代、7月】
【(3)昔のパン会社 箱洗いは全員パート作業員】
【その昔の会社で、見え隠れするあの娘(こ)!?】
『――なにっ!? その話は本当か!?』
『はい!』
『よーしわかった! じゃあ俺の手腕で、ここにいるヨーシキワーカ(あいつ)も、同じ目に会わせてやる!!
だから、そっちの方で『高い給料』で雇い直せ!!
以前に俺がそっちに『送り戻した奴』がいただろ!?
そいつを上に上げて、しばらくはヨーシキワーカに『責任をなすりつける』感じで負わせて、『パートで雇い直せ』!!
10年そこにいたんだから、しばらくはそのままで十分だろ!?
10年後か、15年後か、次の奴が入ってきたら、そいつも同じ目に会わせるんだ!! 『社会の厳しさ』ってものを教えろ!!
……どうだ!? 俺の手腕は!? 周りでも結構上手いとすこぶる評判だろ!?』
『ええ、ええ、そのお噂は兼ねがね伺っております。今までたいそう勝ちを収めていらっしゃるようですね!?』
『フフン! だろう!?』
『できれば私共としても、そうした人と長らく今後も、お付き合いしたいのですが……!?』
『フフン……まぁ、いいだろう……考えてやらんでもない!!』
『……決まりですね! 恩に着ます!』


☆彡
【アンドロメダ王女様の心意、地球人類難民達への職への斡旋前に聞けた話は、僥倖(ぎょうこう)】
――過去から現在に返り、エメラルティさんが語る。
「――そんな話が上がっていたらしいわ……。
そのヨーシキワーカさんと、そのドクターイリヤマ達との距離は、だいたい約20mから30mぐらい離れていたそうよ!?
それはとても聴こえ辛くて、聴き取り難い内容だったんだって……!」
そこへ、クリスティさんが。
「実は、そのどうしようもない問題で、イリヤマ先生、ライセン先生の2人は、『今まで勝った試ししかない』ことで有名だからよ!
以前からそうした事もあって、たいそう勝ちを納めていたことで有名だからね!
だから、その情報筋伝いの相手に、『協力要請の打診』がきちゃったのよ!」
とここで、感心の言葉を挟んできたのは、ミノルさん、アヤネさんだったわ。
「良くその人は、聞き取れたもんだなぁ!?」
「ええ、とんだ地獄耳よね……?」
と考えてみるアヤネさん。
そこで、考えたあたしは、こう声を出して。
「その顔の見えないエアディスプレイの相手、電話の相手はわかりますか!?」
と尋ねたものだったわ。
これには、エメラルティさんも。
「……わかんないわ」
「……」
「悪しき従業員さんなんだと思うわ……。多分、複数人いらしたって事ね!」
「そうした取り次ぎ回しか……?」
ハァ~……
とアヤネ(あたし)は、長嘆の溜息を零すほどだったわ。
そのエメラルティさんの話は、こう続く。
「あそこは、総務課と製造事務所の2つがあるからね!
また、正社員さんであれば、工場内に社用携帯端末を持ち込むことも、許可されている!
そこに人伝を経て、品質管理などの女性陣の会話も入れば、道理を買ってくる流れにもなる!
情報の発信元は、そこって理由(わけ)よ!」
「特定はできない……って訳なんですね!?」
これには、アヤネ(あたし)を推しても、不承不承だったわ。
次いで、サファイアリーさん(彼女)は、こう語るのだった。
「加えて、それを工場内で見聞きしていた『別の誰』かがいて、思わぬ具合の『トラブルアクシデント』を招いてしまった経緯(わけ)よ……!
その時、ドクターイリヤマたちは、取り次ぎの電話が来るまで、まだかかる……と思ってて、一度は、そうして切っていたんだしね!
そして、これはあたしの勘だけども……。
おそらく、その昔の会社の従業員さんか、もしくは電話伝いの相手と思しき人物……この2つが考えられるわ!」
とそこへ、エメラルティさんが。
「そして、実を言えば……。
その大きな会社には、以前にも、どうしようもない問題に関わっていた、悪しき従業員さんが潜んでいたのよ……!
そのせいで、お金周りの話が上がり、『役員昇格のチャンス』と見た人達が絡んでくる!!
そう、大抵は、女性の方が多いわね……!
女性のそうした『情報網は広くて』、『結びつきは強い』から……!
そして、分け前を、そのおこぼれを頂戴するようにして、自分の周りの下の人達にも、それとなく話して周った理由(わけ)……!」
次いで、クリスティさんが、こう物語る。
「そうした人達の噂話が立ち初め、時間の経過を追うごとに、そうした問題・話題が飛び火していき、
あれよあれよという間に、女の人達の強力な情報網に引っかかって、自分にも恵んでとばかりに、浅ましくもその手を伸ばしてきちゃうのよ!」
「……」
僕達、あたし達、私達は、黙ってその話を聴きいるばかりだった。
【――そして、クリスティさん(彼女)は、こうも続けるのだった】
「――以前にも、その問題に関わり、そのお金を受け取っていた人は、『愉悦間』に浸り、上下関係を敷いていくもの!
下の人達にも恵んでチャンスを与え、自分をはやし立てるように盛り上げる!
女王様の気取りの悪女!
さしずめ、下々の者は侍従(じじゅう)!」
【彼女は、こう独白す――】
「――そして、その渦中には少なからず、ちょっとした仕込みを入れてくる悪しき人達が現れ出でるもの……!
その人達は、仕掛け人や共犯者たちの一味の1人で、後で自分にも分け前やおこぼれをもらおうとしてくる者達……! 相乗り、便乗、悪食!!」
「……」「……」
その話を聞き入る、ミノルさんにアヤネさん。
【彼女の独白は、こう続く――】
「『商人』と『便乗の話』に『相乗り』し『画策』し『絡んでくる人たち』……!
その集団の環の中に溶け込めば、自分の正体がわからなくなるから、大丈夫!?
どちらに転んでも、自分には『得』になる!
勝つ方に付けばいい!
立場上は、中立の人が絡んでくるのが、強く望ましい……! そうした世界の社会性の組織……!!」
「……」「……」
その話を黙って聞き入る、アンドロメダ王女様にLちゃん。
その深層心理では、あるイメージ映像が浮かんでいた。
天秤(てんびん)を持った人だった。
計るのは、善悪の基準。
それは、人と人を見立てたもので、秤の上にその人達が乗っている。
秤が動き出す、重いのはいったいどっちか。
自分達は、その外から動向や経緯を窺い知るだけ。
その話の相中に、中立の立場の人を据えて、どちらの罪が重い軽いかを計る天秤を持った人、その人は、法の執行人であり、法務部の人間。
だが、決して表の世界に出てこない。
偽電話詐欺事件中の裏の人間だった。
その身内には、ハッキングができる人間が控えていた。
「自然、『お金の話を盗り付ける』為に、
憶測と推測の話が飛び交い、刑事罰責任に責任問題の話を加え、借金の話を結びつけてこようとしてくる法務部(人達)……!
そうした事で、みんなの意見が統一され、さすがですね……とする了承の意を買い。
いつしか人は、『自重性』を失い、暴徒化していくもの……!
集団の意、多数決の意に買った形になり、みんなの意見だから、安易にその言葉に乗って返す人も少なくない!!
ちょっとした出来心で、そうした声に合わせていくの!」
「……」「……」
その話を黙って聞き入る、アユミちゃんにスバル君。
その頭の中では、あるイメージ映像が浮かんでいた。
それは登下校中の仲良し生徒達が、道路交通法を護らず、赤信号の時に渡っている時だった。
みんなで渡れば、大丈夫。
だけど……見えざる角度、曲がり角から飛び出してきた車が、青信号だと思い、そのまま子供達の列の中に突っ込むのだった。
ガシャンッ
現場は大惨事だった。
死傷者・負傷者多数、現場にはひき殺された子供達の亡骸と喚き散らす子供達の姿があったのだった……。
「だけど、多くの人達は、それすら知らないの……!
その集団の環の中に、最低2人、仕掛け人・共犯者・闇子・かけ子・呼子と言われる人たちがいて、関わっていた事を……!!
知らず知らずのうちに、そう『誘導』されていた……!? それは、『騙された口』だった……!?
けど、気づいた時には、時すでに遅し!!
自重性を失った話は、日を追うごとに、月日を経るごとに、歯止めが効かず、いつしか暴走、『暴徒化』の一途を辿っていくもの……!!
その勝ち負け如何の勝敗により、『盗り立てる話』とすり替わっていくもの……!
それが、その問題に関わった、人達の……大人としての『ケジメ』、『責任の取り方』……!
どちらに転んでも、いいように、それに関わった自分たちは、得する方に付けばいい!!
その勝敗により、
勝った人は『嘲笑い』! 負けた人は『悔し涙』を流す……ッ!!
負けた人が上げる声は、『負け犬の遠吠え』……!
それを見ていた大衆は、勝利者側に近寄り、はやし立てるように、更なる恵みを分けてもらおうとする!
止まらない、やめられない、『人の欲望』! 『羨望』! 『鼓舞』! 人の浅ましき、『金への妄執』!!!
でもね……。勝った人でも、その大衆の動き、そのすべてを把握できず、また部外者も関わってくるものだから――
自ずと敗者側は、それ以上ないぐらいに追い立てられて、盗り立てられていくの……!!
それは、もう悲愴(かな)しいぐらいにねぇ~~!!」
「……」
【――畏怖、恐怖、悪寒! 戦慄す、慟哭す、震撼す!】
【彼女は、こう身振り手振りで、独白していくのだった――】
わかっていた。あぁ、わかっていた。
クリスティさんは、あくまで、その事件に関わっていた重要な参考人なんだ。
「そう、そうした人達でさえ人知れず、人の動きが認知できない中で――自殺まで追い込んでしまう!!
おかしいのは、あっちだからと、集団の声を揃えて言ってねーッ!
上げるは、逆切れ!!
ホントは、その人じゃないのに、その仲間内に第三者がいて、やったのはその人達なのに、仲間だから匿っていくの――ッ!
やっぱりやったのは、お前じゃないのか!? とする、そうした既成事実をワザと作り、気づかれなければ勝てる!!
気づかなければ、負ける……。とんもないぐらいに追い立てられて……!! 責められて……ッ!!
理想と現実の懊悩とするハザマの中、そのどれでもない、無罪の一手が差し出される!!」
【悪手が、好手へと化ける】
【それは、何手先も読み、たった1手で、逆転する事もある、嵐の一手だった――】
「――過去に、自殺まで追いやられた人達が少なからずいた! 持ち家を失った人たちもいた! 大事な家族を失った人もいた! 恋人に振られた人もいた!
これはそうした人達が望んでいた、何であの時、あんな事があっていたのか、知りたいする理由だったから!
そうした望みを紡いでいった人物が――」
そこへ、サファイアリーが、エメラルティが。
「アヤ!」
「ヨーシキワーカ(ユキ)!」
うん
と頷き得るクリスティさん
「だからこれは、どうしようもない問題なんかじゃなく、歴とした『特殊集団詐欺事件』であり! 歴とした『犯罪履歴』だったのよ……!!
だから、いずれは『問題で済まなくなってきちゃう』のよ……!?」
「……」「……」
「……」
その話を黙って聞き入る、アンドロメダ王女様にLちゃん。
そして、スバル君。
静かにその瞼を閉じる――


★彡
【職業訓練校時代、7月】
【(4)昔のパン会社 箱洗いは全員パート作業員】
【その昔の会社で、見え隠れするあの娘(こ)!?】
――その付近にいたドクターライセンが、ドクターイリヤマに、こう食って掛かってきた感じで、尋ねてきた。
『――どーゆう事ですか――ッ!?』
それは、顔の見えないエアディスプレイ通して、『見聞きした後』だからだ。
まぁ、電話に似たようなものだ。
僕は、その意見を求める為、イリヤマ先生に食って掛かったんだ。
……この横にいて聞いていたけど、電話口のように、横にいても、ほとんど聞こえないからだ。
そのイリヤマ先生は、こう切り返してきたんだ。
『あぁ簡単に言うと、お前にも覚えがあるだろ!?』
『!?』
(僕にも身に覚えが、まさか……!?)
僕のその勘は当たっていた。
『職業訓練校(ここ)にきた生徒達は、以前の会社を辞めて、次の就職先を探すために、ここに学びにきている』
『……ええ……』
(そうだ……それは僕の時にもあったんだ……)
それが件のどうしようもない問題だ。
『だから、自分を正しく扱わないところに、『何らかの悪さを仕込んでいるケース』がある……!』
『あぁ、ありましたね確かに……!?
以前送り返した生徒さんも、同じようにして散々な目に会わせましたよね!?
周りにも酷いくらいに取り次いで回って……そうやって追い詰めたんですもんね!?』
僕は自分のせいじゃなく、前にそうやって、ハメた生徒さんたちの話を持ち出して、その人達のせいに仕向けたんだ。
そうやって僕は、心の中に平静さを装う。
チラッ
『……』
ドキッ
とイリヤマ先生が、僕の顔を見てきて、一瞬だけヒヤリとしたけど……。
『フンッ!! そんなところから出てくる方が悪い!!』
と言い切ったんだ。イリヤマ先生(この人)は。
それは過去にも、あったという事実で、それは、あなたと共謀し勝っていたからなんだ。
だから、それだけは、皆さんと違って、また、大きく差異があるんだと思う。
それぞれの就職先があって、それぞれの人生(未来)があるんだから。
僕は、この人の言動を伺う。
『……』
『何か証拠を掴まないとな……!? もしくは『でっちあげる』か……!? 『前みたい』に……!?』
『あぁ、『またやる』んですね!?』
『チィッ、うるさい!! 周りには黙ってろよ!? こっちにも考えがあるんだからな……!?
引いてはお前の為でもあるんだぞ!? まだ十分残ってるんだからな!!』
『……』
ナレーションの語り手は、ライセン先生。
【――それは借金の話だった】
【僕等2人は、職業訓練校(ここ)に雇ってもらう以上、前の会社でやらかした案件もあり、その借金を建て替えてもらっていたんだ……】
【だから、その借金返済分のために、返してもらう宛のある話がないか!? と尋ねられた事があったんだ】
【それが、どうしようもない問題を企てた、事の経緯だ……!!】
【職業訓練校という体裁は、そのどうしようもない問題を仕掛ける上で、この上なく、とでも良かった】
【講師という名目上、上からモノを言って、圧制を敷くことができるからだ】
【すでに本校を出て行った教え子さん達がいて、周りで取り次いでまわれば、そうしたターゲットさんを囲い込み、心身共に追い立てる事ができる】
【強力な隠れ蓑、後ろ盾だったんだ……】
【それが、ここ、職業訓練校なんだ!!】
【職場という環境が、とても都合が良かったんだ】
【後はご存じの通り、ここにそうした生徒さん達を集め、その講義の場で、『集団催眠』と『共犯意識』と『飴』を仕掛けていたんだ】
【そうやって、周りから、少しずつ盗り立てていたんだ】
【僕等のそうした借金返済分のために……】
【周りにはミシマさん達のような人達がいて、網を張ってもらっている】
【後は、設備管理科の問題は、同じそうした枠組みの中で、問題という形で、済ませるために】
【周りに取り次いでまわり、調整調整を利かせて、時にはツギハギツギハギを行い、穏便に済ませる事ができる】
【騙した親御さんにも、お金を包んで、揉み消して回る】
【見せかけ上のものだったんだ……】
【それでもわからない生徒さんには、やり方もあった】
【就職難に陥るよう、周りに取り次いでまわり、箱庭を作るんだ!】
【そこでおかしな騒ぎを起こせば、あぁ、問題なんだなぁ……と思わせることができる】
【それでもわからない生徒さんには、さらに悪態的な態度と陰湿な嫌がらせ行為を、執拗にエスカレートさせていって】
【ご家族間の間に、亀裂を生じさせる……】
【盗み、モノの移動、無くなったものの返し、データの消去、マウスのフォーマット、ハッキング、盗聴器などの手口がそうだ】
【そうしたおかしな状況を作り出し、何がなんでも、これはそうした問題なんだなぁと、周りに取り次いでまわり】
【そう言った誤った認識の無理解を、植えつけて周ればいいだけ!!】
【飴をもらっている以上は、そうした事もあって、今、その席に座っている人達には、得難く、僕たちにとても協力的なんだ】
【そうだ……!! これは合法的な代替手段なんだ!! これはそうした問題なんだ!!】
【僕は悪くない……! 何も悪くないぞ……ッ! ……ッッ】
【もし僕が悪いなら、僕たちに協力してくれたあなた達だって悪いんだから……!?】
【今いる、子供たちの前で、親である大人の(あなた達)が、その話をして、心意的に語れないだろう……!?】
【どうやっても、自分たちの子供たちに言って聞かせることができないからだッ!?】
【それでは親の体裁・面目が絶たないからだッ……!! だから、黙るしかない……ッ!! そんな事はそもそもなかったとして!?】
【……ッ……ッッ……】
【だから、こんな噂話は、前々から上がっていて、僕達はその話に『便乗』して、そうした人達との結びつきがあったからなんだ……!!】
【あなた達にも、言い逃れのできない罪と罰、そう、事の真実、理想の虚実、真理の虚言ごとなんだから……さぁ――】

『――……わかってますよ……そんな事は……!? こっちも、引き返せないところまできてるって……』
『……』

【あぁ、ウソだ……! 僕は、ウソつきだ……!】
【ホントを言えば、僕はここで引き返したかったんだ……】
【でも……周りからのそうした無理解の事もあって、金の話、酒の席での話もあったから……】
【気持ち良くなってたから……そう、酔ってたんだ……!? まだ、まだ大丈夫、まだ大丈夫だと……心酔してたんだ……】
『……』
【他ならない、あなたに……、ねぇ――】
『――イリヤマ先生……!?』
『……』
【あなたについていけば、僕等は大丈夫なんですよね!?】
【僕等はその頃から、強いあなたに心酔し、言い寄っていたんだ……】
【金の亡者かもしれない……】
【何とも浅ましくも、嘆かわしくて恥ずかしい……。あぁ、木乃伊(ミイラ)取りが木乃伊(ミイラ)になるのかもしれない……】
【気がつけば、もう僕等は、犯罪に片足をどっぷり浸かっていたんだ……】
『……ッ』
『……?』
【わかってる……ッ! こんな事はもうわかっている! もう後戻りができないところまできているって……!】
【行きつく先は、警察の留置場行きだろう――】
『どうしたんだ?』
『いや……何でも……』
『……』
【ああ、ウソだ。僕は自分にウソをついている】
【あぁ、帰れない、帰れない、帰れない、帰れない、帰れない】
【そして、後でわかる事だが、あのミシマさんも、後で突き出される事になる】
【そして、ヨシュディアエさんは、とある作家の保護承認プログラムを受けていて、名前を変えていたから、何とかその場で言い逃れができたらしい……】
【周りからの、そうした同じ職員さんの声が上がっていたからだ……】
【非常に運がいいと思う。小憎らしいぐらいに……僕等と同じ癖に……さあ……!?】
【だから、変に取り次いでまわり、上手く上手く、言い訳を利かせて、その場で訳がわかんないようにし、どうにかして揉み消して】
【上手く上手く、言い逃れができたらしいんだよね……!?】
【非常に悪運が強いと思う】
【まぁ、彼女ほどの爆乳美人さんとなれば、世論はもったいなくて……】
【10年間留置場にいれば、出てくる頃には様変わりしていて、50代のおばちゃんになってるだろう……】
【前科一犯ともなれば、今後、そうした婚期の話は逃すだろうし】
【その貴重なDNAの損失は、アメリカだけじゃなく、世界的に見ても、大きな損害だからだ……】
【聞いたところによれば、20代の若かりし頃は、もう胸がぱっつんぱっつんに張っていて、ちょっと動いただけで、乳波揺れが起きていたらしい……】
【そんな彼女でも走り難いからか、こう胸を抱きかかえて、人の目を気にしてて……動き辛い時期があったらしいけれども……】
【Nカップはあろうかという超爆乳さんぶりだったんだとか……!?】
【そんな人の世にも珍しい、貴重なDNA(血統遺伝子)サンプルだ……!】
【彼女には、幸せになってほしいというのが、かのヨーシキワーカなりの御配慮だ】
【どうやら、ヨーシキワーカさんとファウンフォレストさんとの2人の間で、話があって】
【あの娘(こ)の名前だけでも変えた方が良く、あの娘(こ)もそれを気にしてて、ヨーシキワーカ君に対して怒らないというものだったらしいんだが……】
【正直、いいところをついたよなぁ……と思う。ズルい、ヨシュディアエさんだけッ……!!】
【また、これはヨーシキワーカさんの苦談の話だが……】
【1年目だけはヨシュディアエさんが協力的(!?)だったこともあって、自分の中でそうした便宜を秤(はかり)、線引きをしていたらしい】
【それが、名前の変更の経緯(けいい)と経緯(いきさつ)だ】
【その実の名前を、アナグラム化させて、ヨシュディアエと偽ったらしい】
【なんでもヨシ……だけはそのままで、一度、そのヨシュディアエをアルファベット化させると……!?】
【YOSYUDEXIAE……となるらしい】
【このXをUと変換させて、正しくアナグラム化させるらしいけど……も!?】
『……で、どんなお考えがあるんですか……!?』
『……偶然にも、以前に送り返したあいつと、今あそこにいるヨーシキワーカは、同じ会社の出だ!』
『えっ……!?』
【今ばかりは、そんな話は取り止めよう――】

『――いるだろ、あの娘(こ)が!? 電話伝いで取り次いで回って、訳がわかんないようにしてくれたあの娘(こ)が……!?』
『あぁ、いましたね……』
あぁ、あの女(人)か……。
『で、周りから嫌になるくらいにハメて、本人が謝りに行ったところで、散々な目に会わせたんだからな!?
……まぁ、あれは、こっちとしても、後味が悪いからな……!
以前に受け持った俺の生徒さんなんだし……。
入れ替わりで、、あいつを戻してやろうと思ってる……!! こんなタイミングなんだしな……!!
本人にもそれとなく伝えて、それなりにあいつを使わせてやれ……ってな!
ちょうど、ここにあれを学んでいるし、本人としてもそれくらいでいいだろ!?』
『ヒドイ人だなぁ……!? 『本人にそれを聞いていない』のに、『こっちで勝手に決めつける』もんですね!?
大丈夫なんですか――ッ!? これが周りに取り次いで回って、本人たちの耳に、もしも入りにでもしたら……メチャクチャ怒りますよォ~!?』
『チッ、いいんだよ!! 『そーゆう会社』なんだから……!!』
『えっ……!?』
『体育体系寄りのブラック会社だ……! だからか、なぜか従業員たちが、信じられないほど辞めていく……!?
パワハラか何かか……!? 謎の症状が、なぜか流行していてな……!?
……その詳細はこっちでも不明だ……』
『……謎の病……?』


☆彡
【謎の病=パンのイースト酵母菌】
――過去から現在に返り、アユミちゃんは、こう質問を投げかけてきたのだった。
それに対して、答えるのは、女医のクリスティさん。
「――あのさ、謎の病……ってなに?」
「あぁ、肉体労働や深夜労働もそうなんだけど、なぜか、1週間働いただけで、突然になって、辞めていく人達がいるらしいのよあそこ」
「……えっ……!?」
それは、驚嘆の思いだったわ。
クリスティさんは、こう説明するの。
「ヨーシキワーカさんの読みと考察と体験談に基づいていけば、確かにそれが、1週間の間に潜伏していて、発芽したらしくて、
どうやらパンのイースト酵母菌によるものの原因らしいわよ!」
「パンのイースト酵母菌!?」
「うん。簡単に言えば、免疫抗体のないその人にとっては、工場内に入所しただけで、まるで酒粕のようなニオイを感じ取っていたんだって!
それが重篤化すると、体調を崩し、下痢・嘔吐・吐き気を催し、熱が出て寝込む事もあるんだって!
で、それを吐いた時なんか、まるで死ぬんじゃないかって、呼吸困難を味わったらしいんだからーっ!
で、一週間の間、寝込んでいる間に、免疫機能が備わり、
再び、その職場に顔を出したら、不思議とそのニオイが気にならなくなっていたらしいわよ!」
「それが免疫がついたって事なんだね!」
「うんそうよ!」
と笑顔の花を咲かせるアユミちゃんにクリスティさん。
彼女は、こうも続けるのだった。
「多くの人達は、そんな事すら知らないからね!? 『目に見えない恐怖』に怯えて、その職場から逃げ出していったわけよ!」
「あっ! だからかァ!?」
納得。
「で、ヨーシキワーカさんなりの対処方法は、箱洗いの『洗礼』と説いていたらしいわよ!」
「箱洗いの洗礼?」
「うん、各所ラインを周るからね。自然とより多くのイースト酵母菌が付着するものだから、早くに重篤化しやすいのよ!」
「へぇ~……そうなんだぁ」
得心。
「で、ヨーシキワーカさんは、務めている間にこう言っていたらしいわよ!」
「なんて?」
「それは、俺や周りの作業員さんたちは、わかっているから、事情を話しさえすれば、周りも、きっとわかってくれるってね!」
「こっ言葉が短過ぎない――ッ!?」
とそこへ、サファイアリーさんが。
「あのねぇ……。それは病気でしょ?」
「へ?」
「実際、どこもそうしたもんよ?」
「え……」
「何も、長々と長たらしく一々説明する必要もないからね!
そこで働く作業員であれば、見て学べ! 動きを見て学べ! 機械を動かして見て、実際に学べ!
で、必要であれば、その人を外に連れ出していって、キチンとわかるまで言えばいいからね!
誰でもできる、簡単な事でしょ!」
とサファイアリーさんは、簡潔に物事を言ったのだった。
これにはアユミちゃんも。
「えええええ」
と驚いたものだったわ。
「『月見エビバーガ―オーロラソース社』には、守秘義務もあるからね。それ以上は言えないのよ!」
「な、なるほど……」
とそこへ、今度は、エメラルティさんが。
「ヨーシキワーカさんが、ファウンフォレストさんに遺した言葉もあるんだけどね」
「!」
『ファウンフォレストさんは、漬物が好きですか!? 自分は漬物が好きですね。こう体にもいいから!』
『えーと確か……前にも漬け込んであったのは、たくあん、奈良漬け、キュウリだったかな!?』
『アハハハッ、何それ――ッ笑える――ッ』
『フッ……』
『あぁ……なるほど……フ~ン……そーゆう事ね!』
そこには、軽く頷き得るファウンフォレストさん(彼女)の姿があったのだった。
そして、エメラルティさんは、こうも続ける。
「そして、これを見たライセン先生は、こう零したんだと思うわ。
『――僕が、この事を聞いたのは、もっと後の話になるんだけど……さすがだなぁ……って感心したものだ』
『だって、まるで、子供みたいな発想から、奇をてらって、このどうしようもない問題を看破していったからだ……普通の人は、できない……』
『これを初見で見た僕は、さすがだなぁ……と感慨深くなったものだ』
『そうした人達の不安要素を、あの人は、笑い飛ばして、払拭していった経緯(わけ)なんだから――』


★彡
【職業訓練校時代、7月】
【(5)昔のパン会社 箱洗いは全員パート作業員】
【その昔の会社で、見え隠れするあの娘(こ)!?】
――イリヤマ先生は、こう呟きを落とす。
『――俺のところに入ってきた情報によると、また、ウェーブグローバルの口コミなどを見ていくと、信じられないものが浮き彫りになっていく……!』
『ウェーブグローバルの『口コミ』……ですか!?』
『あぁ、それは自分で調べてくれ……!』
フゥ……
【そのサイトの『2ちゃんねる』か『5ちゃんねる』ですか……!?』
【これにはドクターライセン(僕)も、嘆息し得る思いだ……】
【どちらにしろ、こっちが知るには、ウェーブグローバルの口コミしかないようだ】
【きっと悪い情報(もの)が、そこに書かれているのだろう】
『……確かヨーシキワーカさんは、どこかのパン会社に勤めてたんでしたよね……!?』
『あぁ、間違いない!』
ドクターイリヤマ(俺)も、それを認めるところだ。
いったいどこのパン会社なのだろうか……。
後で人の噂話や、ウェーブグローバルの口コミ等で調べてみるか……。
フムゥ……
と考え加減のドクターライセン。気になるその会社の所在地等は、一切不明である。
威力営業妨害に成り兼ねないからだ。
だから、名前だけは控えさせていただく。っつーか変える。
『……! 周りには黙ってろよ……!?』
『……』
とりあえず俺は、こいつに釘を差しておく。
これにはライセン先生(僕)も、嘆息してしまいがちだ
『こんな悪い事周りに知れたら、それこそ僕達はホントに、『懲戒免職処分』ものですからね……!? きっと、タダじゃ済まされませんよ!?』
『……』
それがわかっているからこそ、イリヤマ先生は、こうして僕に釘を差してきたんだ。
だから、周りには絶対に言えないのだ、絶対に周りに漏れしてはいけない……ッ。
『何だ良くわかっているじゃないか……?』
『……』
その話を聞いて、ドクターライセン(僕)は、嘆息す。
(何を当たり前のことを言っているんだか……この人は……!? そんなの僕だって、今の地位は惜しいんだから……)
そう思う僕が、心の中にいたんだ。
次にイリヤマ先生の口が開き、こう告げてきたんだ。
『……聞いた話じゃ、今、あの子が抜けた会社で大変な事が起こっている……!』
『大変な事……!?』
『あぁ、わかっている限りでは、会社の負債金が1000万円(75,758米ドル)だそうだ!!』
1ドルは132円であるからして、
75,758ドルは1000万円に等しい。
正しくは、75,757.57米ドルである。
円とドルの簡単な計算方法は、10000000÷132=75,757.57となる。
だが、これを聞いたドクターライセンは。
『1000万円(75,758米ドル)――ッ!!!? え――ッ!? なぜ――ッ!?』
『わからん!! とにかく下の連中の方で何かがあったらしく、
現場が混乱して、どう動いていいのかわからず、上手く以前のように働いていないだそうだ……!?』
『……』
『これは俺の勘だが、今あそこにいるあいつが、どう考えてみても怪しい……』
『……』
俺は、僕は、今あそこにいるヨーシキワーカさんのそうした配管のネジ切りの様子を見ていたんだ。
そして、イリヤマ先生は、その視線を切り、僕の方を見てきて、こう言ってきたんだ。
『……お前も聞いただろ!?
『ヨーシキワーカ君をどうにかして、こっちの方に呼び戻してください』
――と! 何を甘えた事を!! きっとあいつが、中で何か悪さをしたに決まってる!!』
『……確かに……。僕が同じなら、何かしたかもしれませんね……?』
『絶対にネズミの尻尾を掴んでやる……!!』
そして、人知れず、何も知らないまま、ヨーシキワーカたちは、配管のネジを切り、それらを組み合わせ、加工していったのだった。


☆彡
【――その頃、遠く離れた銀河では――】
【スバル暗殺をもくろむ、某組織『アナトリア』】
――真っ暗闇の室内、それは純黒の漆黒、静まり返り、ひんやりとしていた。
そこへ、コッコッコッと響く足音があった。そして、コッ……と。
静まり返る室内、色違いのフードの奥、怪しき瞳があった。
「……」
【謎の組織アナトリア コードネーム:『牝馬』Forada(フォラダ)】
バッ
と彼女が、その手を挙げると、
真っ暗闇の室内の天井面に挙がるは、美女、美少女たちの自己紹介(プロフィール写真)だった。
その巨大スクリーン一面に、ズラリと並ぶ。
どれも、美女、美少女の類の顔立ちの整った容姿の子達だ。
それ等をくまなく品定めをするは、フォラダ。
「召使いの少女か……経済貿易の要を……担うものか」
彼女が、手を泳がせると、次のページへ移っていく。
もう一度、手を泳がせると、また次のページへ。
彼女は、こう独白す。
「例の少年の年齢は、11歳か、12歳ぐらい……」
場が、静まりかえる。
「なら、12歳ぐらいが適正年齢だな……」
フッ
と勝ちを得た笑みを浮かべるフォラダ。
パチンッ
と指を鳴らし、検索結果が絞られて、11歳から12歳ぐらいの年頃の子達が現れる。
新たな少女達の自己紹介(プロフィール写真)がズラリと並ぶ。
その目を泳がせていくフォラダ。そして――
「地球人に似たヒューマンタイプの少女、そして、今後を考えて異星人タイプの少女、フフフ、この2人がいい」
バッ
とその手を挙げ、バッ、とその手を振り下ろす。
冷え切った室内の上に、2人の少女のホログラム映像が投影されるのだった。
フフフ、フフフフフ
不気味な笑い声が、純黒の漆黒の闇の中、木魂す――


TO BE CONTINUD……

しおり