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おまけの第2話 寄り添う心①

「お~久しぶりだなあ、懐かしい」

 俺たちが宇宙船を離れて地球に降りてから5年ほど経とうとしていた。
 地球に降りてからも度々宇宙船に戻る人もいたが、俺とハカセは3年前に結婚してからは、一度も戻ることが無かった。
 今日はボス氏の発案で宇宙船に全員集合することとなった。

 でも、今回は10人で集まっている。
 俺とハカセには双子の子が生まれ、現在2歳となっている。
 ボス氏も地球人の冴子さんと結婚したので、俺たちの子と冴子さんも新たに参加することとなった。

「それにしても綺麗なまま残っているね~」

 ハカセが嬉しそうな顔で自分の部屋を確認している。
 俺と違ってハカセはきれい好きなので、汚れていないか気になっていたようだ。
 この宇宙船はハカセの案で汚れない仕組みを導入しており、掃除をしなくても清潔な状態が保たれるようになっているのだ。
 宇宙船の動力は太陽光で賄えるので誰もいない状態でも最低限の稼働はしている。

「ねえ、パパ~。あっちで遊んできていい?」

 会議室には大きなモニタがあるのだが、昔持ち込んだゲーム機が繋がれているのを見つけたらしい。
 子供は二卵性で、姉の一花と弟の博太郎という。
 俺とハカセの名前をそれぞれ付けたのだが、一花は真面目で勉強好き、博太郎は奇想天外と名前と性格が逆になってしまった。

「いいけど、あまりあちこち触るなよ」

 大人同士で色々話したいこともあるし、子供だけで遊んでいてくれるのは助かる。

「ところで、皆にお願いがあるんだが……あの治療機を使わせて欲しいんだ」

 畏まったようにボス氏が話を切り出した。
 隣の冴子さんも落ち着かない様子なので、彼女が関係していることは予想ができた。

「あの機械じゃハゲは治らないわよ」

 サクラ氏がいつもの調子でからかうが、ボス氏はサクラ氏を見向きもせずに続ける。
 くだらない冗談に付き合っている暇はないという感じだ。

「私ではなく、冴子の足を治してやりたい。冴子は15年前、交通事故に巻き込まれて元夫と下半身の自由を失った。私はもう一度彼女を歩けるようにしてあげたいんだ」

「良いのではないでしょうか。冴子さんもボスの妻なのですから、もう仲間のようなものですよ。それに、あの治療機が地球人にも効果があるのか私も気になりますし」

 ボス氏をフォローするようにナカマツ氏が賛成する。
 特に反対意見は出ないようだ。

「では反対意見も無いようなので早速始めましょう。冴子さん、まずは医務室で検査しましょうか」

 そう言ってナカマツ氏はボス氏と冴子さんを医務室に連れて行った。
 3人がいなくなると、なんだか空気が重いような……。
 そう、サクラ氏とカトー氏だ。こいつら、また喧嘩してるのか……。

「カトー氏、もしかしてまた喧嘩してるの?」

「ああ」

 カトー氏はそう呟いて、サクラ氏から目を背ける。
 この2人、本当に手がかかるなあ……。

「サクラ、ちょっとこっちきて!」

 ハカセがサクラ氏の腕を強引に引っ張って、ハカセの部屋に連れて行った。
 俺もカトー氏とちょっと話そうかな。

「今度は何が原因なの?」

「サクラがメイドカフェに行くなとうるさいので、行くのを止めたんだ。ならばということで、最近はアイドルの推し活をしているんだが、どうもそれも気に入らないらしい……」

 あれ?カトー氏ってこんなアホだったけ?

「カトー氏、メイドカフェなのかアイドルなのかの問題じゃないんだよ。サクラ氏は自分だけを見て欲しいんじゃないかな」

「サクラだって見てるよ。見ていて飽きないやつだからな」

「いや、飽きないとかじゃなくてさ、ちゃんと好きだと声に出して言ってる?」

「特に言ってないな。長い付き合いなんだから言わなくても分かるだろ」

 あ、ダメだこの人……。
 戦闘以外は本当にポンコツすぎる。

「分かるかもしれないけどさ、女性はハッキリ言って欲しいものらしいんだよ。俺もいつも言わされてる……」

「イチローも苦労してるんだな……ハカセの尻に完全に敷かれてるもんな」

 そんな感じでカトー氏のダメな所を指摘していたら、サクラ氏がハカセに連れられて戻ってきた。
 ハカセに背中を押されて、カトー氏の前に立たされたサクラ氏。

「なあ、カトー。私達、今まで散々喧嘩してきたけどさ、これで終わりにしようぜ。これから私とガチ勝負しないか。負けた方は勝った方の言うことを何でも聞くということでどうだ?」

「何でも?」

「ああ、何でもだ。私が負けたとして、死ねと言われたら死んでやるぞ」

「いいぜ。俺も負けたら何でも聞いてやる」

 カトー氏とサクラ氏は真剣な顔で睨み合い、訓練室へ向かう。
 かつてはサクラ氏が圧倒的に強かったものの、2人とも現在は不老不死ではない。
 3年前に戦った際にはカトー氏が逆転していたようだが、現在はどうなんだろうか。

 訓練室に着くと、サクラ氏はいつものように裸足となり、柔軟を始めた。

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