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必要とされてたこと

ギィさんは立ち上がると専務と部長に頭を下げながら挨拶をした

(こんにちは、専務、部長、本日は私のためにお時間をとらせてしまって申し訳ありません)

人間の専務とロバの部長は疲れた顔と困った顔をしながら言う

(まっ、とりあえず座ってくれ、ギィくん、話を聞こうじゃないか)

そう言うと専務と部長は座る

コンコンコンとドアがなると女性社員が3人分のお茶を持ってきた

専務は(ありがとう)と言うと女性社員は何も言わずにさがった


部長は暖かいお茶を少しずつ飲むと言う
(それで何で今さらこの会社をやめようとおもったの)

ギィさんは(はぁ)と言いながら返答に困った

どう言おうか迷ったが言う
(あの、ラーメン屋をやってみようと思いまして)

部長と専務は同時に(はあっ)と言いながら笑った

二人とも目が鋭くなっていた

専務
(じゃあ何かね、君はラーメン屋に今ごろなりたいから、この会社を責任ある役職についているのに辞めると言うのかね、気は確かか君)

と半ば呆れながらどうしたものかと考えていた

ギィさんはそう来るだろうなと思いながら言う
(はい、おっしやるとこはじゅうじゅう承知しております
しかし、やりたいんです、ラーメン屋を)

専務と部長はイライラしながらタバコを取り出すと吸った

部長が言う
(あのね、君、なんにもわかってないよ、調べたら君は今の工場の責任者じゃあないかね、それをラーメン作るために辞めるだと、世の中をナメるのもたいがいにしたまえよ、君)

すると専務が言う
(まあまあ、そんなに怒ってはいかんよ、血圧がまたあがるぞ、なぁギィくん、今わが社が大変なのは君も十分知ってると思うのだが、辞めるにしてももう少しあとにはできないのかね、あと3年はわが社に必要なんだよ、君と言う男がさ、ダメなのかね、本当に)

ギィさんは頭を下げながら言った
(はい、申し訳ありません)

専務はそうか、と言うとわかった君が退職するのを了解するよ、だがね、世の中は君が思っているほど甘くはないぞ、そこだけは覚悟するように)

ギィさんは立ち上がると頭を下げて大粒の涙を流しながら言った
専務の言葉が胸に刺さったからだ、自分は本当にこの会社に入ってよかったと今はじめて思った

ギィさんは(専務、部長、今まで本当にありがとうございます、そして申し訳ありません

ギィさんの退職届は終わった

ギィさんは家に帰るなか心の中がポッカリと穴の空いた気分になった










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