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空色と狩り

優しい風が頬を撫で、桜の花びらと戯れている。
私は芝生に寝転びながら幼なじみを待っている……のだが。
「……さてはアイツ、また寝坊したな…………?」
『それ、フラムの跳び蹴り確定だね』
私のお腹の上で丸まって寝ていたはずの使い魔──空色の羽毛竜(フェザードラゴン)であるクルルが首を伸ばしながら言った。
「だろうねぇ~」
クルルのあごの下を撫でると、彼は気持ち良さそうに目を細めた。

***

「30分遅刻とは……記録更新だね?」

はい、現在私は待ち人……もとい、幼なじみのレンにおごらせたココアを飲んでます。
「ほんとにすまん……まさか電車が止まるとは思わなかったんだ」
「あんたそれでよく学校には遅刻しないよね」
『それはわたしが起こしてるからよ』
レンの肩に止まっているフラムの追撃。
それに再び謝るレン。

『いつもの光景だね~』
「ですなぁ……まーそれはそれとして。そろそろ移動しようか」
さぁ、戦争の時間だ────

***

所変わってカラオケの部屋。
椅子やテーブルには、銀色の小袋が散乱している。
そしてまた1つ袋が増え……。
「っしゃぁぁぁぁぁぁ待ってたよ我が最推しぃぃぃぃぃぃ!!!」
リンの雄叫びが上がった。
「……良かったな」
幼なじみのリンは、今日も平常運転のようだ。

俺たちは公園を離れた後、某グッズショップの10時開店を待った。
つーか、オープン攻めたの俺たちしか居なかったんだが?
リン曰く、「発売日が休日なら朝攻め!グッズ狩りは戦争だよ!!予約しててもね!!!」だそうだ。
ガチ勢のオタクって怖いな。
こいつのは馴れたが。

予約は箱単位確定だったようで1つ。
それだけでも値段が恐ろしい事になっていたのだが……。
「ブロマイド、だとっ……?え、聞いてないぞ買うしかないじゃん」
と言って手に取ったのは2箱。……は?
「この手のは種類が多くて確定じゃない。つまり、当たって砕けるのみなのだよ!」
……この日の総計は1万を優に超えていた。

***

で、今に至るというわけだ。
『リンねぇやったね!』
「ありがとクルル!爆死らなくて良かったよ!!」
『相変わらずね、あなたたちは……』
「だな。……で、いい加減歌いたいんだが良いか?」

「『あっ、ここカラオケだった』」

──おい、ココに来て歌う事を忘れるたぁどういう事だ??

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