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おもてなし2号店の改修のその後

 コンビニおもてなし2号店がリニューアルオープンして1週間が立ちました。

 週一回行っている店長会議にシャルンエッセンスがやってきたのですが、もうね、最高にいい笑顔です。
 まぁ、毎朝一緒に朝ご飯を食べていますし、その際の会話でわかってはいましたけど、こうして会議の場でその顔を見ることが出来ると、僕まで思わずつられて笑顔になってしますわけです。

 結果から言いますと、売り上げが
「改修前の3倍増ですわぁ!」
 もう、シャルンエッセンス、最高の笑顔で報告してくれました、はい。

 この売り上げを押し上げたのは、店舗を拡張したのが一番の要因なのですが、2号店の売り上げデータを確認すると、おもしろいデータが出てきました。


 あ、その前にですね、コンビニおもてなしのレジのシステムについて少し説明しておきます。

 本店では太陽光発電システムが起動しているおかげで、異世界にやってきてもしばらくは、バーコードを作成して商品にシールを貼り、それを元の世界でも使用していた電動レジの読み取り機で「ぴ」ってやってたわけですが。

 あっという間にバーコード用のシールがなくなりました。

 で、まぁ、商品ごとにバーコード作って、設定して……ってやってたら、まぁ正直面倒くさいですし、気がつけば2号店、3号店と増えていってですね、当然そっちには太陽光発電システムがないうえに、そっちにまわせる電動レジの予備もないわけです。

 仕方ないので、しばらくはこの世界の手動レジを導入してみたんですけど……これって、ホントに金額を売って合計が計算されて、レシートが打ち出されるだけの代物なわけです。
 店の控えも残らないため、レジを打つ度に、合計額をメモしておかないといけませんでした。

 で、3号店のエレ達木人形はすぐに対応できるようになりましたし、本店も、ブリリアンが根性で理解してくれたおかげで、どうにかなっていたのですが、問題は2号店でした。
 もう、最初の頃は、レジ研修をみっちりやったにもかかわらずミスの連続で何度僕が本店から謝罪に駆けつけたか……

 で、まぁ……困った時のスアえもんなのが、私、タク太くんなわけです、はい。

 で、閉店後店内で、スアに、レジを実際に体験してもらって……あ、本店ですから電気レジですよ。
「こんな感じのレジを魔道具でなんか作れないかな?」
 と、相談してみたんですが……どうやらこれ、やはりといいますか……スアえもんでも相当な無理難題だったらしく、ブツブツいいながら巨木の家に帰っていっちゃったんですよね……

 んで、それからしばらくのスアは、普通に朝起きて、僕に「抱っこ……」って甘えて、夜まで物書きと、店のお手伝いをしては、寝る前に「……あなた」と言いながら僕にすりおっとここからはお話出来ませんねぇ。

 と、まぁ、いつも通りの生活を送っていたある日
「……あなた、これ」
 と言って、スアがうんしょうんしょと持って来たのが
『魔道レジスターSUA001』……まぁ、僕命名ですけど、これです。

 形状は至ってシンプルです。
 四角い箱の形をした本体の上に、パソコンでいうところのディスプレイみたいなものが突き出ています。
 そして、本体の横に、移動式の四角の薄い板みたいな物があります。

 で、ですね……商品をこの薄い板の上に置くと
「ぴ」
 と、音がして、ディスプレイの中に、
 板の上に置かれた品物の名前と金額が表示されました。

 複数の商品を置いてみます。
「ぴ」
 と、音がして、ディスプレイの中に
 板の上に置かれた複数の商品名と、それぞれの金額、そして合計金額が表示されます。

 何、これ、すごすぎる!

 で、しかも、現時点でコンビニおもてなし全店で販売している全商品の商品名・価格がデータ登録されているそうで、
「……あと、食品・飲み物・薬品・魔石・魔道具・ルアの店の商品・魔女魔法出版の本・雑貨・その他で、商品分類出来るように、設定してる、よ」
 で、これらのデータは、店長である僕が自由に修正設定可能になっているそうで

 何、このスアえもん、すごすぎる!

 で、商品分類をもう少し細かくして
 日・週・月ごとの集計が打ち出せる機能を追加してもらったものが、現在全コンビニおもてなし店舗に導入されています。


 話を戻します。

 このレジシステムは、夏祭りの少し後に導入しているおかげで、2号店の売り上げ増加のデータを分析することが出来たわけですが、

 2号店では、飲み物がかなり売れています。

 スアビールやタクラ酒、パラナミオサイダーは当然よく売れていますが、それだけではありません。

 店舗が拡大したので、試しに置いてみた乾燥紅茶パックが飛ぶようにうれているんです。
 この乾燥紅茶パックなんですが、
 以前、コンビニおもてなし本店に、イエロの弟子として居候していた時代のゴルアとメルアが好んで飲んでいた紅茶の葉なんですが
「王都にいたころから、これが大好物でして」
 と、ゴルア言ってたんですが、この茶葉、調べてみたらかなりの高級品だったわけですよ。
 で、ゴルアって、実家はそれなりのいいとこらしくて、そのおかげで仕送りと一緒にこの紅茶葉を送って貰っていたようなんですよ。

 んで、僕はこの葉を、スアのプラントでコピーしてもらったんですが、これが見事に成功しました。
 で、早速高級感溢れる~自画自賛~包装にして~紙袋ですが~売り出してみたところ

 それなりに売れました。
 しかも、購入者の9割がゴルアです。

 ……まぁですね
 元手がほぼかかってないし、コピーしてるおかげで、量はそう多くないですけど毎日生産出来る品物なので、結構お安くして販売してたんですけど

「まずくはないでござるが……」
「この値段なら酒を飲むキ」
「というわけで、酒もってこんかい」
 と、モニター参加してくださったとある酔いどれ娘の御三方も言ってましたので、この紅茶葉は、本店でのみ、ほぼゴルアのためだけに販売してたんですよね。

 で、まぁ、今回、2号店の店内が急に広くなったせいで、最初に売る品が若干足りなくなったもんだから、とりあえずこれでも置いとくかとばかりに、試飲と一緒においておいたらですね。
「なんだ、この紅茶、すっげぇうまいじゃねぇか」
「都の高級紅茶並みの味で、しかもこんなに安いなんて」
「ミラッパ、この味好きっぱ!」
 と、どこかの味のよくわかるとある冒険者組合の専属冒険者の御三方が絶賛して買って行かれたのを皮切りに、われもわれもと街の皆さんが買って行くんですよ。

 で、まぁ、なんでこんな差が出たのか考えてみたんですけど……やっぱ、街の規模なのかなぁ、と。

 と、いいますのがですね、
 ブラコンベもガタコンベも大概なド田舎には違いないんですけど、そんな中でもブラコンベの方が若干都会なんですよね、人口も多いし。

 なので、こういった高級紅茶を嗜む人が潜在的にいたらしく
「王都でしか飲めないような紅茶葉が、こんな田舎で、こんなに安く買えるなんて」
 って、なったみたいです、はい。

 で、この紅茶ですが、すでにプラントから接ぎ木を採取して、紅茶葉の木の増産も開始しています。
 場所は、例のタクラ豆の畑の隣です。

 あと、薬品や魔石も、ガタコンベでは滅多に売れない高級な薬品や魔石も、そこそこ売れているもんだから、それらが積み重なっての大幅売り上げ増だったわけです、はい。

 
 ちなみに、改装した2号店に負けず劣らず売り上げを伸ばしているのが、3号店です。
 エレによると
「最近常連になってくださっている、年配の女魔法使いの方が魔法関連書物を毎日山のように買って行かれていますので……」
 と、こっちはこっちで、併設している、魔女魔法出版の書物を大量に取り扱っている書店コーナーが売り上げを牽引しているようです。

 と、2号店3号店も、売り上げを伸ばしてくれていますけど

 ウルムナギ弁当フェアをやった本店の売り上げもなかなかなものだったわけで、3店舗ともとても順調この上ない出来です。


 元の世界の最後の頃
 僕がコンビニおもてなしを引き継いですぐの頃なんて、週の会議を開く度に
「……あ、ウチ、明日で閉店しますんで」
 とか
「在庫が店の倉庫に溢れてるんですよ……なんとかなりません?」
 とか
「あ、こんどウチ、ヘブンードレブンに店変えますんで」
 とか
 
 まぁ、最後の1件だけは満面の笑みで報告されたんで、むかついたけど、毎回暗い話題しかなかったんだよね。


 それが、世界こそ違うけど、この世界では、笑顔で会を開けてるわけです。
 ほんと、ありがたいことです。

 僕は、今週の店長会議の終わりを告げながら、シャルンエッセンスとエレに、感謝しきりだったわけです、はい。


 あと、我が愛しのスアえもんにも、ね。

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