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駐屯地騒動

 今日も早朝から弁当の調理をしている僕
 猿人の女の子4人と、蛙人のヤルメキスも一緒に料理を作っています。
 
 猿人の女の子は2人が弁当・惣菜調理
 もう2人がパン・サンドイッチと、ホットデリカを作成
 ヤルメキスは、スイーツとしてカップケーキを大量に作成してます。

 ブリリアンが食材の運び込みや出来上がった弁当の陳列作業をしてくれてたんだけど、最近はここにスアのアナザーボディが加わってます。

 ……確かに、陳列作業がすごく助かってはいるんだけど、
 スアは、同時に薬類の調合もしてるわけなんだし
「気持ちはありがたいんだけど、無理しなくていいよ」
 って伝えたんだけど、

 パァン!

 ……なんで僕はもみじの葉っぱを右頬に咲かせなきゃならないんだ?
 スアはスアで、なんか顔を真っ赤にしながらプンスカしちゃうし……う~ん……

 あ! ひょっとしてあれか、更年期しょ

 ぱぱぱぁん!!


 そんな音を響かせながら調理をしていると、なんか裏庭の方が騒がしい。
 ここでは、この時間はイエロが、ゴルア・メルアと朝稽古をしているので、いつも騒がしいのだが、今朝のは、なんかそういうのではなく、別な感じがしたわけなんで、少し聞き耳を立ててると
「どうしたんだ?お前たち」
 的な言葉がなんか聞こえてきた。

 ちょっと気になったんで覗いてみると
 ゴルア・メルアの元に、彼女の同僚である駐屯地の女騎士が2人訪ねてきていた。
 
 女騎士達は、ガタコンベから少し離れた場所にある、辺境駐屯地で、王都の直轄地であるこのあたり一帯を警備しているのだが、こういった辺境へ送られてくる騎士というのは、たいがい新米か王都で何か問題を起こしたもの、と、相場が決まっているらしい。 実際、セーテン達が盗賊団だった頃には、駐屯地の食料を好き勝手に奪われていたのだし。
 
 そんな女騎士達は、なんでもゴルア達に相談に来たのだという。


 駐屯地の指揮官は、前任者が汚職をしていた事が発覚したため更迭され……

 あぁ、あれか、猿人が駐屯地から奪ってた荷物の中にその証拠の書類がわんさと交じってたんだっけ

 で、その代わりに新しい指揮官が赴任しているのだが、この指揮官、王都では常に窓際を歴任している無能で有名な人物とのことで、赴任してこれまで、何一つ指示も出していないとか。
 そのため、元々いた騎士団員の中に訳のわからない派閥が出来てしまい好き勝手し始めているんだとか……その派閥同士が毎日のように小競り合いをしていて、尋ねてきた女騎士達のような下の者達が辟易しており、どうにかならないだろうか? というのである。

 ちなみに、この駐屯地へは、僕らコンビニおもてなしが物資の搬入作業を請け負っていたのだけど、猿人盗賊団騒動が解決したおかげで、王都からの物資輸送が可能となったため、花祭りの少し前くらいに終了していたんだけど……ってか、その短い間にそんなことになっていたとは……

 この派閥のトップらと、ゴルアが面識があるため、どうにか仲裁してほしいというのが彼女たちのお願いだった。
 ゴルアにも、そのトップに思い当たる節があったらしく
「あの男……プライドだけは異常に高いからな……」
 額を抑えて、大きなため息をついていた。どこにも問題のある人はいるんだなぁ。
 ゴルアとメルアは、軽く汗を流すと、やってきていた女騎士らと一緒に駐屯地へ向かうという。
 イエロも、念のために同行することになり、やってきた女騎士2人とともに、計5人で駐屯地へと向かっていった。
 
 人手が一気に減ってしまったため、急きょ組合に依頼して蟻人(アントピープル)3人に来てもらう。
 以前からよく来てもらっている面々なので、細かな説明をしなくてすむので、ここからヘルプを頼むと楽でいい。

 ちなみに、この日は、蛙人(フロッグピープル)・ヤルメキスの新製品が棚に並んだ。
 カップケーキの生地を使って、ドーナツを作ってみたのである。
 生地を輪型に押し出す機械は、元の世界で見たことのある某ドーナツチェーン店の機械をうろ覚えで図面化したのを、工房のルアに見てもらい、2人で試行錯誤しながら作ってもらったんだけど、
「こ、こ、こ……これは非常に使いやすいでごじゃりまする!」
 と、ヤルメキスには非常に好評だった。
 今回は、プレーンのみだったが、いざ販売してみると、弁当と一緒に飛ぶように売れ、ヤルメキスがまたいつものように
「つ、つ、つ、作るのがおっつかないでごじゃるぅ!」
と、厨房で悲鳴をあげていたんだけど、
「お、またごじゃるの姉ちゃんが悲鳴をあげたぞ」
 客の列からそんな声が揚がり、その声を聴いた他の客が一斉に笑い始めた……どうも、ウチの店の新しい名物として定着し始めてるようです、はい。

 そんなこんなで今日の営業も無事終了
 店の片づけをしている頃合いになってイエロ達が戻ってきた。

 5名で出発した彼女達、16名になって戻ってきた。


 ……は?


 結果から言いますと、ゴルアとメルアの説得を、
 喧嘩しているグループのトップ同士が完全拒否。
 同席していた騎士団長は、この話し合いに対し、何も言わずにお茶をすすり続けていたそうで……

 で、それでも説得を続けるゴルア達だったものの、
 そんなやりとりが小1時間したところで、イエロの怒りが大爆発。

 要約すると

 統率もとれずに何が騎士団か!
 ろくに実力もないくせに口ばかり達者でどうするか!
 言いたいことも言わない奴らも同罪だ!

 と言った内容をすさまじい勢いで怒鳴り散らしたそうで……
 で、さすがに実力が、と言われたのにカチンときたらしく、派閥の各トップの騎士2人がイエロに決闘を申し込んだそうなのだが、

 1人目は、騎士の剣を交わしたイエロが、その顔面をぶん殴って終了。
「剣を抜く必要もなかったでござるな」
 で、この結果に、もう1人は顔面を真っ青にして戦いを取り下げたとのこと。

 で、この結果に、駐屯地の騎士団そのものに愛想をつかした女騎士ら11名が、その場でガタコンベ勤務への転属願を提出し、即時受理されたとか……

 ってか、騎士団長のおっさん、お茶ばっか飲んでて脳みそ腐ってないか?

 で、まぁ、そんなわけで、イエロ達と一緒に帰ってきたのだという。

 ……ってか、ちょっと待て
 ガタコンベ駐屯地ってさ……よく考えたら、ウチの店の2階。ゴルアとメルアが暮らしている2人用の部屋なわけで……
 緊急措置として、スアの巨木の家に、実の家を増設してもらい、とりあえず全員が一時雨風をしのげるようにはしてもらったんだけど、この実の家は巨木のスペースの都合上、3つ作るのが限界で、1部屋あたりに4人・4人・3人と、結構詰め込まざるを得ない状態になってしまっている……近いうちに駐屯地として小屋なりなんなり作ってもらうようゴルアにはお願いしておいた。

 なるべく早急にお願いしたい、なんか妙にスアが怒ってるんで……
「……また、女…連れ込…んだ」
 違う、違う、それは誤解だ……今回はゴルアらが連れてきたんであってだな……
「……嘘つき」
 だ~か~ら~!


 ちなみに、今回やってきた11人の中に、3人ほどよく知った人物がいた。
 向こうの駐屯地で経理や物資保管を担当していた文官の女騎士たちである。

 なんでも、騎士団が分裂したせいで、
「こっちに物資を多くよこせ」
 だの
 「いやこっちに多くだ!」
 と、まぁ、連日派閥に板挟みにされていたため、ちょうどいい機会だからと、こちらへやってきたのだという。

 剣の腕前よりも、事務系仕事の方が性に合っていると3人は言っていてそういう仕事があったら紹介して欲しいと相談された。
 とりあえず、組合にそんな仕事がないか話をしてみようと思いながら、ちょっと接客とかやってみないか声をかけてもみていて、検討してもらってます。

 だからスアさん!? 何かな、そのジト目は……

 他の8人は、イエロに鍛えてもらいながら冒険者ギルドの討伐依頼なんかをこなしていくことになったのだが、
「「「よろしくお願いします!イエロお姉さま!」」」
 ……どうやら、イエロは、向こうでの大演説及び大立ち回りをやったせいで、妹をたくさん作ってきたようです……百合百合しい事この上ないです、はい。

 一気に賑やかになったコンビニおもてなしだけど、
 とにかく、女騎士さん達にはとっととどっか、定住地を見つけてほしいもんです。

 スアが不機嫌だと、僕も辛いんで……
 ……おかしいな……最近スアが不機嫌だと、胸の変がモヤモヤするんだよな……

 俺、更年期か?

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