362章 朝食調達
いろいろなことを考えてしまい、深い睡眠を取れなかった。そのこともあって、瞼は非常に重かった。
「ミサキちゃん、ヤッホー」
ほのかは立ち直ったのか、無理をしているのか。前者10パーセント、後者90パーセントくらいかなと思っている。
「ホノカちゃん、おはよう」
ミサキは瞼をごしごしとこすった。
「ミサキちゃん、とっても眠たそうだね」
「うん。あんまり眠れなかった」
「ミサキちゃんの付き添いをするから、睡眠を取りたいときはいつでもいってね」
ホノカに頼ったら、一人旅の意義を失う。できることなら、他の誰かに頼りたくはなかった。
ミサキの体は、前にふらふらと揺れる。ホノカは細い体で、ていねいにキャッチする。
「ミサキちゃん。私の部屋で休もう」
ミサキのおなかはギュルルとなった。
「先にご飯を食べたい。腹ごしらえしてから、ゆったりとしたい」
優先事項は腹ごしらえ>>>>>>睡眠である。おなかを安定させることで、平和な日常を送れる。
「ミサキちゃん、朝食を食べられるところを一緒に探そう」
旅館の食事だけでは、腹ペコ女性を脱却するのは難しい。おなかを満たすためには、外で食事
をする必要がある。
早朝ということもあって、店は閉店の看板がぶら下げられていた。
「ミサキちゃん、ドコソンに行こう」
「ドコソン」は、24時間営業のスーパーマーケット。「いつでも、どこでも」をモットーにして、24時間営業に力を注ぐ。
「ドコソン」のルールとして、深夜10時から早朝の5時までは、支払い料金は20パーセント増し。昼間の時間は安く、深夜の時間はやや高めとなっている。
夜の料金は高くなるものの、利用する人はそれなりにいる。夜に営業しているということに、おおいなる希少価値がある。
ミサキ、ホノカのところに、アヤメがやってきた。
「ミサキちゃん、ホノカちゃん、おはよう」
二人はそれぞれに挨拶を返す。
「アヤメちゃん、おはよう」
アヤメは大きな欠伸をする。こちらも寝不足のようだ。
「ミサキちゃん、食料の調達に行くんだね」
「うん。そうだよ」
「私もついていくよ」
「アヤメちゃんはしっかり休んだほうがいいよ。寝不足を解消しないと、仕事に悪影響が出かねないよ」
アヤメの欠伸はさらに大きくなった。
「ミサキちゃんの食料調達を終えたら、しっかりと眠ろうと思っている。今日はお休みだから、ゆっくりとできるよ」
ホノカはやや強めの力で、ミサキの掌を引っ張った。
「ミサキちゃん、スーパーにレッツゴー」
アヤメも乗り気だった。
「レッツゴー、レッツゴー」
ミサキ、ホノカ、アヤメの3人でスーパーに向かった。手をつないでいるからか、小学生のおつかいのように感じられた。