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17. 君は誰

「君は誰」
問う声に私が答える。
「私は私」
その他にはなれず、その他には見えない。
どんな道を行こうとも、誰と付き合おうとも
変えようの無い事実。
でも、迷う事がある。
誰も私の名前を呼ばない時。
でも、惑う時がある。
誰の名前も呼べない時。
そんな時、揺らぎそうになる自身に問う声に、私は答える。
「私は私」
だと。

―――――――――――――――――――――――――

「これ、貸してくれる?」
人に声をかけるのは苦手だった。
まして、男の子なんて大の苦手。
……沈黙。
「喋れたんだ?」
は?い?
私は何がなんだかわからなくて、目をぱちくりさせる。
「あ、だって。いつも喋ったの聞いた事ないから」
その男の子はそう言ってはさみを貸してくれた。
私はそれを友達に渡す。
「何いってんの?クラスメートじゃん」
友達がそうフォローしてくれた。
「や、そうだけど……いつも、何も言わないし」
私は何もいえない。
ああ、そっか。私、誰とも……いや、友達以外と喋ってないや。

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