194章 来客
「ご飯を食べたら、食器を運んでくれる」
「どこに運べばいいんですか?」
食器を運ぶ場所を知らないとは。これについては、さすがに知っていると思っていた。
「あそこに運ぶんだよ」
アカネが場所を示すと、コハルは食器を手に取った。
「食器についても、とっても豪華ですね」
魔物退治の収入をもらったあと、新しい食器を買い集める。そのこともあって、最高級の食器
がそろっている。
コハルは食器洗浄機の前に立った。
「食器をセットしたあと、白のボタンを押してね」
「はい、わかりました」
コハルは丁寧に皿を並べたあと、白いボタンを押す。数秒後、食器洗浄機が動き始めた。
「これは何をしているんですか?」
「食器を洗っているんだ」
「皿を機械で洗うんですか?」
「うん。機械がやるんだ」
「アカネさんの家は、いろいろとすごいです」
貧乏生活送っていた人にとって、自動洗浄機は雲の上の存在だ。取り付けるまでに、20年から30年はかかるのではなかろうか。
何をしようかなと思っていると、コハルから声をかけられた。
「アカネさん、散歩に行きたいです」
「コハルさん、メンタルは問題ないの?」
「わからないですけど、行ってみたいと思います」
1週間後くらいがいいと思ったものの、コハルの思いを優先させる。
「わかった。散歩に行こう」
コハルはお腹を押さえた。
「散歩に行く前に、トイレを借りてもいいですか?」
「うん。いいよ」
コハルがトイレにいった直後、扉をノックされる音がした。アカネは深呼吸してから、そちら
に向かった。