117章 エサをゲット
買い物を終えて、「なごみや」に戻ってきた。
「おかあさん、ただいま」
「ハルキ、おかえりなさい」
ミライの母親は、アカネに頭を下げる。
「食材の買い出しに付き合ってもらい、わざわざありがとうございました」
「なごみや」からスーパーまでは、5キロくらいの距離がある。20キロの肉を持ち運ぶだけで、かなりの重労働になる。
肉以外に、「魚」、「パン」、「チーズ」、「パイナップル」、「オレンジ」、「いちご」、
「ビスケット」、「ドーナツ」などを大量に購入。いろいろな食料をたくさん購入したため、総
重量は100キロを超えることとなった。怪力自慢であったとしても、家まで運ぶのは難しい。
「食料はどこにあるの?」
頭に大量のクエッションマークを浮かべている女性に、ハルキは簡単に説明する。
「私の部屋にあるんだ。これから取りに行くね」
食べ物の状態を維持するために、保存魔法をかけておいた。保存魔法を使用することで、冷蔵食品の鮮度を保つことができる。
保存魔法は冷蔵食品だけでなく、冷凍食品にも有効である。冷凍食品をマグマの中に置いたとしても、そのままの状態を維持できる。
保存魔法の効力は、3時間となっている。3時間を超えてしまうと、食材の劣化が進むことになる。それまでに、あるべきところで保存する必要がある。
「食料をどうやって運んだの?」
「アカネさんの能力を使用して、家の中に送ってもらったんだ」
「アカネさんの能力?」
首をかしげている女性に、自分の能力を説明する。
「私はモノを移動させる能力を持っています」
ミライの母親は、腑に落ちない表情をしている。目の前で起きていることに対して、ピンときていないのかもしれない。
「そうなんですね」
「アリアリトウ」に、食料を送ったときのことを思い出す。テレポーテーションのスキルがなけ
れば、全部を持ち運ぶ必要があった。超人的な身体をもっていても、数秒で大量の食料を持ち運
ぶのは不可能だ。
魔法が使えたとしても、死者を復活させることはできない。食べ物を生み出すのも無理である。心のストレスもどうにもできない。便利なスキルであるものの、制約も大きくなっている。
「アカネさんのおかげで、本当に助かりました。ありがとうございます」
「私に手伝えることがあったら、いつでもいってね」
社会人時代の社交辞令が出てしまった。こちらの街になれても、あちらの癖は健在となっている。
「ありがとうございます。必要があったときは、お願いしたいと思います」
「ハルキさん、食料を取りにいこう」
「わかりました・・・・・・」
食料を取りに行くために、ハルキの部屋に向かっていく。ペットに餌を与えられるからか、モチベーションがアップすることとなった。人間はやりたいことをできるときは、自然と心の中の
気分が上昇することになる。