バナー画像 お気に入り登録 応援する

文字の大きさ

13


 身体は、結界の力のせいでボロボロだ。
なのにまるで、狂ったようにやり続けている。
 正気ではないやり方だ……。

「正気じゃねぇーな。アレは……」

 こちらに向かってきたら危険なため木の影に隠れる。
 様子を伺うようにシンがそう言った。
このままだと帰るにも帰れない。
 それにいつ見つかるかも分からない。するとその時だった。

「随分と騒がしい輩が居るようだのう。
 妖精達を怖がらせる輩は、誰じゃ?」

 その声は……まさか!?
木の影から見るとキョウ様だった。
 後ろには、キルア様とセイ様も一緒だ。
キョウ様は、扇子で口元を隠しながらクマを見つめる。

「獣族か……悪いことは言わぬ。
今すぐ立ち去るが良い」

 しかしクマは、正気がないのかキョウ様を襲おうと結界に体当たりして行く。
 すると結界は、さらに強くなり、バチバチとクマを感電するように弾き返した。
 それでもクマは、立ち上がろうとする。
それを見たキョウ様は、ため息を吐いた。

「不憫よのう……正気を失っても操られておるとわ。
 良かろう……私の力で、そなたをあの世に送ってしんぜよう。
 何がいいかのう?丸焼きか?それとも串刺しか?」

 キョウ様は、扇子をパチンと閉じる。
するとルイは、咄嗟に私の目を手で隠した。
 えっ……?

 ルイが目を隠すので状況が分からなかった。
な、何が起きたの!?
 私は、動揺した。目の前が真っ暗になる。
しかしゴキッとかバキッとか何かが折れる音がした。
 嫌な音に背筋がゾッと震えた。

「ルイとシン。そこに居るのであろう?
出てくるがよい」

 キョウ様は、すべて知っているかのように私達を見つけてしまった。
 こっそり隠れていたのに……。
ルイは、手を離し木の影から出ていく。
 シンも同じように出て行くと深々と頭を下げた。

「これは、失礼致しました。ただ今戻りました」

「よいよい。それよりも、ルイ。
 そなたの力で、この死体の記憶を読み取るのじゃ。
何か情報を持っているかもしれないからのう?」

しおり