「ねえ、なぜ壊れ物の世界を抱くの?」「問えば響く君の答え」

水原麻似

私以外の人間がその絵を描くと、きっとその人間は絵の中で生きている人間のことをその手で描いたはずなのである。
私にそれを求める権利があるかどうかは別問題にしても、少なくとも彼にはあったはずなのですが…… その男は、私を物語の語り部として見ていたわけではなかったのですから、私の言葉を聞きたいとは思わなかったはずなのですよね。
そのときになってはじめて気がついたのですがどうやら私は怖がっていたようです 彼が立ち去ってしまうことを恐れていたのか、あるいは私がこの先何を言えばいいかわからなくなることを恐れていたのか……それは今でもよく分かりません ただひとつ確かなことは私がその男と出会ってしまいそれから別れたことは事実であり、私はそのことについてこれからも考え続けなければなりません、それだけの話なのです……そして

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