転生者に、抗え 〜平凡な現地人はそれでも諦めない〜(書籍版「平凡な現地人、女神(猫)の加護で転生者に抗え!」) (外部サイトで読む

どまどま

アシュリー・エフォートは平凡な男だった。
突出して強くはないものの、いつかは魔神を倒して、人々を助けたいーーそんな夢を抱いていた。

そんなある日、アシュリーは「転生の儀式」の護衛を任される。

転生の儀式。

それは異世界から強者を呼び出す儀式のこと。
魔神の強さに音をあげた国王が、苦肉の策として転生者を呼び寄せることを提案したのだ。

儀式は成功。
召喚した若き転生者はたしかに強かった。
魔神を倒すためにずっと鍛練してきたアシュリーよりも、はるか上の力を持っていた。

「いやいや、これくらいは普通でしょ?」
「俺、なんかやっちゃいました?」

いきなり強大な力を手に入れたという転生者は調子に乗り出した。
そして「自身の力を試す」という名目でアシュリーとの練習試合を持ちかける。

そして――アシュリーは右腕の自由を失った。

これを訴えても、「必要な犠牲だった」といって誰も取り合ってくれない。国にとって勇者の力のほうがはるかに大事なのだ。

「だったら俺の財産(*国王から貰ったもの)をあげるからさ。だからアシュリーくんは田舎にでも帰りなよ」
「おお、勇者様はなんとお優しい……!」
「え? 俺、またなんかやっちゃいました?」

結局、アシュリーは追放され――実家に帰ることとなる。

「俺だって強くなりたいのに……ずっと頑張ってたのに……ひどすぎる……」

「――では、強くしてやろうか?」

ひとり泣いているところに、見慣れない少女が現れた。

「おぬしは残念ながら平凡な人間じゃ。特殊な能力など持っておらぬし、ステータスも並み以下。普通に鍛練するだけでは一生魔神や転生者には勝てん。だが……この妾が特訓してやれば話は別じゃ。どうじゃ……妾とともに来ないか?」

これは、あまりに平凡な男が努力を重ねることによって、いつの間にか世界最強の座を手にいれる物語である――

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