世界の果ての君の手のひら (外部サイトで読む

清水 幸

☆第4回ツギクル小説大賞奨励賞受賞!

 舞台は日本と韓国が武力衝突の危機を迎えた近未来。この国が、そして世界が破滅に向かって突き進んでいた。そんな時代の中でも、落合文は幼なじみの長内梓を愛していた。文と梓は同じ高校に入学したばかりのクラスメイト。でも幼なじみの関係から何の進展もない。空手道場の家で育った梓は試合に出れば勝ちまくることができたが、気が弱く引っ込み思案な性格で現在は空手から距離を置いている。
 そんな梓が突然茶髪になって現れた。母親に暴力も振るったという。戸惑う文。いつものように学校に向かうが、梓はケンカを売ってきた不良の上級生たちを返り討ちにする。梓に好きだと告白され、勢いで自分もそうだったと告白した文。だが梓にセックスしようと誘われ、目の前にいる梓が自分の知っている梓と正反対の人間だと思い知らされ、文は傷つく。文は学校に行くのをやめて家に引き返す。部屋にもう一人の自分が現れ文を襲った。もう一人の自分は文自身の影だった。影は文の体を乗っ取ろうとしていた。今日の梓は彼女の影だったと気づく。なんとか影を撃退し、文は梓に会うために学校へ向かう。
 教師たちに学校から追い出された梓と出くわした文は、自分が愛していた梓が今は影にされていることを知る。文は影を地面から引っ張り出して、元の梓を復活させることに成功した。梓は、影は正反対の自分などではなく、見せたくなくて隠していた本当の自分だという。だから、梓の影が文に告白したのは、今まで自分がしたくてもできなかったことを影がやってくれたにすぎない、ということだった。
 両想いだったことを知り、恋人同士になった文と梓。梓の両親も二人の交際を認めたが、梓の母の歩は「いつか梓を見捨てるなら、今別れてほしい」と文に迫る。そのとき文は、幼いころ自分を暴行して生死の境をさまよわせた犯人が梓だったことに気づく。その事件のあと大人たちは梓を文から引き離そうとした。幼い梓は文から離れたくない一心で自分の体を影に明け渡した。それ以来梓は気の弱い引っ込み思案な女の子に生まれ変わった。長年見てきて好きになった梓の方が偽物で、乱暴者の梓こそが本当の梓だった……。

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