本好き乙川さんは読むのが遅い (外部サイトで読む

Win-CL

新任の現国教師として私立の女子高、舞薗高校へと赴任してきた主人公は
かつては小説家を目指し、結局自費出版止まりで夢を諦めた過去を持っていた。

慣れない環境に、落ち着ける場所を探しているある日。
今では使われなくなった旧校舎の話を耳にする。

放課後、何の気なしに向かったその校舎の図書室から。
ぺらりと紙を捲る音が聞こえた気がした。

まさか人がいるとは思っておらず、息を潜めて様子を窺うが
一向に次のページを捲る音が聞こえない。
五分ぐらいしたところで、ようやくぺらりと紙を捲る音が。

なんとも読む手の遅い図書室の主を一目見ようと中に入ると――
真っ黒い制服を着た、黒髪ロングの女子生徒が一人。
他に誰もいない図書室で、椅子ではなく机に座って本を読んでいた。

偶然にも、彼女が読んでいた作品は主人公も好きだった長編小説。
この作品を最後まで読みたいというのが、彼女のたった一つの願いだった。

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