車椅子のおばあちゃんは、デイサービスから帰るたび、孫の美咲と悠斗にその日の出来事を話して聞かせる。けれど、その話の中でデイサービスは、ふしぎの国――“アリスの国”に変わっている。送迎スタッフは遅れそうに走る「白ウサギ」、気まぐれに現れて名言を残す利用者は「チェシャさん」、口の体操をお茶会みたいに盛り上げるスタッフは「帽子屋さん」。平行棒の前は「庭の門」と呼ばれ、そこでは“がんばる日”か“やさしくする日”かを選ぶ、こわくない裁判がひらかれる。
プリンのおやつ、靴下探しの小さな事件、雨で帰りが遅れた日の“灯り集め”、見学の子どもが応援してくれる“見てもらう日”。毎日の出来事は、少しだけ不安で、でも誰かに見守られることで冒険に変わっていく。おばあちゃんは気づく――こわいのは裁判ではなく、「できない」とひとりで思い込むことだと。
そして何より、アリスの国には必ず“帰り道”がある。家で話を聞いてくれる孫たちがいるから、おばあちゃんは明日も元気なアリスでいられる。まだ会っていない“アリスの友だち”の存在を予感しながら、物語は「つづく」と、あたたかな抱擁の中で終わる。
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