有川七菜が中学三年生の時、高校の合格祝いで、年の離れた兄とその妻である美波さんの三人で、昼にショッピングモールにて食事をしていた。
美波さんは妊娠していたが、突然見知らぬ中年男に刺される。
三年後、七菜はパパ活嬢になりすまし、逃亡を続けていた犯人の男に接触し、ラブホテルの一室でシャワーを浴びていた。
兄夫婦は、三年の不妊治療を経てようやく授かった赤ちゃんだというのに、美波さんは流産した。
彼女を心配した両親が実家から出さないようになり、兄が訪ねて行っても会わせてもらえず、二人は引き裂かれてしまった。
なぜ赤ちゃんを殺しても罪にならないのか――
世の中、絶対に間違っている。
男は逮捕されて裁かれても、傷害の軽い罪で出てきてしまう。
孤児院出身で兄以外に身寄りがなく、家族が増えることを非常に楽しみにしていた七菜は、復讐に燃えていた。
彼女は仇討庁の訓練所に通い、免状を取得し、仇討が認められていた。
必ず仇を取り、兄夫婦を元通り仲良く二人で暮らさせてあげるんだと意気込んでいた。
七菜は、ガーターベルトの後ろにカッターナイフを隠し、全身をバスタオルで隠してシャワー室を出た。
初めてだからと言って、恥ずかしがりながらベッドの上にいる男に近付き、金を要求する。
男が背を向けて、ベッド脇にある棚の上に置いたショルダーバッグの中から、長財布を取り出し、チャックを開けようとしていた。
七菜は、カッターを取り出して男を襲うが、相手はそれを躱して、いつの間にか握っていた包丁で反撃する。
彼女は、おへその下に傷を負った。
刃物を持ったまま二人はしばらく対峙し、その最中に「警察は来ない」と男が気になることを言う。
しかも七菜のスマホに、電話がかかってきた。
美波さんと同様に、かつて男に胎児を殺された、助太刀人の飯塚華さんからだった。
ラブホテルの同じフロアの内階段に身を潜めて、麻酔銃を構えて待機しているはずだが、男が『通話に出ないとお前の仲間が危ないぞ』と言うので、仕方なく七菜は通話に出る。
「逃げて!」と二言三言聞こえた後、華さんの声は途絶えたのだった。
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読者への感謝の気持ち
加害者ばかり守られている。量刑が甘い。
たまにはイスラム法みたいな、目には目を。歯には歯をみたいなやつがあっても、いいのではないかと思います。


