君と、あなたと出会えたのは、あの夜空に輝く花火があったから。 (外部サイトで読む

さかき原枝都は

母親と二人暮らしだった私、蒔野巳美は、あの東日本大震災ですべてを失った。

たった一人の家族だったお母さん。そして本当に私の事を想い見ていてくれた彼氏。あの日起こった津波は私のすべてを洗い流してしまった。

罹災した私は親戚をたらい回しされた挙句、秋田県大仙市へ来た。そこでの私の生活は孤独と言う言葉以外何もなかった。その孤独感は私の心を食い病み次第に震災の恐怖感を呼び起こす。

あの日、花火の日。出会ったあの人は、そんな私の心に陽の梯子をかけてくれた。

杉村将哉、彼は重度の「 PTSD 」 心的外傷後ストレス障害となった私の主治医(補佐)として私の前に現れた。
だがその彼もまた心に大きな傷と悲しみを抱いたままだった。

秋田県大仙市大曲で開催される夏の花火大会。
そこで出会う二つの傷ついた心。

赤く青くそして金色に夜空を輝かせる花火。その色々は瞬(またた)く間に変化していく。
そう私達の心の様に……

人は一人きりでは生きていけない。
人は支えられて、そして人を支えて生きている。

あの震災はもう過去の事になったが、その想いと教訓を忘れないために。

そして一歩を歩むために。

この物語は始まる。

  • 重要なフレーズ

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