統合異能捜査局の日々について (外部サイトで読む

技術コモン

【 異能:知性体に寄生しつつ自己のコードを拡散するように振る舞う情報生命体 】

異能。それは力ではない。
情報であり、構造であり、感染する“記憶”である。

「異能」と呼ばれる情報生命体が日常に浸透した近未来社会。
──だが、ここに戦いは存在しない。
異能は“力”ではなく“構造”であり、誰かを打ち倒すためではなく、社会の中で“語られ”、“記録され”、“共生される”ことによってのみ生き延びる。

世界はかつて2031年の「異能パンデミック」で崩壊した。だが、それは人類が新たな生命のかたちと出会った瞬間でもあった。

異能は「認知」によって感染し、「理解」によって発現する。だからこそ、制御不能な力としてではなく、倫理と制度と技術によって“扱われる存在”として社会に組み込まれた。

2050年代以降、日本は「異能共生社会」への道を歩み出し、異能を申告し、分類し、加害可能性を評価する制度が整えられた。異能の存在を記録し、承認し、透明化することで初めて共存が成り立つ。

この世界では、「強い異能」や「制御が難しい異能」は淘汰される。社会に適応し、象徴となり、語られ、役に立つ異能だけが生き残る。

異能は道具となり、文化となり、記憶となる。力が秩序を壊すのではなく、秩序の中で形を変え、社会とともに変容する。それは、力ではなく機能であり、拡大ではなく共鳴であり、支配ではなく理解である。

物語の主題はただ一つ──「どうすれば異能とともに生きられるか」。これは、“異能の物語”ではなく、“異能とともにある社会の物語”である。

そしてそれは、異なる価値を持つ者たちが、記録され、見られ、選び取られながら、それでも“共に生きようとする意思”の記録だ。

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