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その言葉を聞いたヨウは胸に熱いもの

を感じながら言う。

(住職、私にできることがあればいって

ください、私もままだ、まだ、未熟者

ですが、何かのお役にたてると思いま

す)
たかしなは言う。

(なに、我々はまだまだ未熟者の集まり

ですよ、とは言え、とにかく前向きに

考えていきましょう、誰でも最初から

うまくいく人なんていないんですか

ら、これが我々の修行なんですから)

と温かく笑った。かなぎは言う

(皆さん、本当にありがとう、今日もよ

ろしくお願いします)

と言って頭を下げた。みんなの心はい

ちがんとなっていった。そしてかなぎ

たちは準備を終えると1日のお勤めに取

りかかった。

まずは全員でお寺と回りの全体の掃除

をする。

それが終わり7時頃になると、朝の食事

をした。

終わると本堂で般若心境を唱える。

他にもいろいろあるがそろそろ時刻は1

時を過ぎていた。

相談会が行われる時間は2時頃であっ

た。

だが、まだ一人も相談者は現れなかっ

た。

表の玄関を掃除していたヨウとメガネ

をかけたはせがわははきながら小声で

しやべっていた。

ヨウ(はせがわさん、まだ相談者の人、

誰も来ませんね・・・・・・)

はせがわ

(そうたなー、もうそろそろ時間なんだ

がなー、前の住職の時なんかこの時間

の時には並んでいたんだがなー)

ヨウは少し怒りをあらわにしながらい

う。

(前の住職の時にはあんなに相談者の

方々が見られたのにさ、あの時見えた

方々は一人も来ませんねー、そんなに

信用がないのかなー今の住職は・・・・・・

なんか少し頭に来ますね・・・・・・)

はせがわは真剣な顔をしながらヨウを

諭した。

(ヨウ、お前、そんな事を言うもんじや

ない、我々はほとけに使える身だ

ぞ・・・・・・)

ヨウは焦りながらしまったと思った。

(すっ、すいません、はせがわさん、以

後、きおつけます・・・・・・)

そんなとき、すぐちかくから一人の若

者が深刻そうに歩いてきた。

はせがわとヨウはやっと一人こられた

と内心喜んだ。

若者はヨウたちの前に来ると挨拶をす

る。

(こんにちは、お坊様、ところでまだ、

相談会はやっておられますか・・・・・・)

外はもう雪は降っておらず、晴天にな

っていた。

辺りは雪が降り積もっていた。

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