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No.1 ヤバいなと気づいた瞬間

「……」




うちの名前はアメリア。
今の状況は……正直自分でもよく分からない。
1つ上の姉と遊んでいて、こけた拍子に自分の前世を思い出した。
以前成人した女性だったことを。
まぁ、気づいた後も前世のことを言ってもしょうがないし、フツーに子どもらしく過ごしていたんだが……。
部屋にはうちの姉たちとおかんがこちらをじっと見ていた。
訝しげにじっと。

「アメリアはなんでこのような口調や様子に…」

おかんがめっちゃ泣いている。
なぜ……。
うちに現世の母親は涙をボロボロと流し、ハンカチで拭いていた。
それにしても、うちのおかん、凄い美人やな。
まぶしい。

「カレミナ、お前が可愛いアメリアにちょっかいかけたから、こんな風になったのだろう!!」

その声の主、またうちの兄であるエドモンドに指を差された。
指差すな。
てか、よく見れば兄貴もイケメンじゃねーか。

「知らないよ!! アメリアとただ遊んでいたらコケて……」

アメリアと同い年だが1つ上の姉カレミナは半泣き状態。
エドモンド兄とカレミナ姉はうちのことに関して言い合いをしてるっぽい。
これはなんか、うちが一言言っておいた方がいいかな。

「兄貴、別にさぁ、カレミナ姉がうちになんかしたわけじゃない。ていうか、うちのどこがあかんの??」

今のうちの何がおかしいかさっぱりだ。

「「キャアーー!!」」

反論していると背後から悲鳴が聞こえた。
声を辿って部屋の入り口に目を向けるとうちの姉、長女アメリナ、三女ラニーニャ。
「バカ姉、騒ぐんじゃない」と冷静な五女ヒラリーも部屋に入ってきた。

「お母様、これ誰?! アメリア、どうしたの?? 『兄貴』だなんて」
「はぁ??」
「見た目だけじゃなくて、中まで酷く……それにしてもスゴイ口調ねぇ」

なぜかニヤニヤしながらアメリナとラニーニャはベタベタとうちの体に触れてくる。

「ちょ、やめろっ」

うっとおしい。
邪魔な姉の手をしつこい虫を追い払うように振り払う。

「あら、姉様。なんの話をしているんですか??」
「……混ぜて」

おしとやかな四女ミーシャと無口気味な次女メルンも部屋に入ってきた。
それにしても、この部屋といい、家具といい、巧妙な装飾が施された豪華なものだなぁ。
うん、まぁ、当たり前か。
全員が桜色の髪を持つ特徴があるこの家族は王家。
うちの父は国王、母は王妃、うちらは王女。
そして、うち、第7王女アメリア・C・トッカータは元ヤンの女から転生した身。
この時のアメリア、6歳。







前世が元ヤンの王女って……。
ヤバくね…。

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