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秀長7

 秀次に付けたくノ一から繋ぎが入った。家康が宗矩を供に秀次を訪ねて来たと言うのだ。
「やはり家康が出て来たか?」
 秀長は秀吉の元から戻ってきたところだ。
「先ほど殿下から秀次が受けたと言う話を聞いたのだ。困ったことだ。それと家康が筒井の失態を届けてきた。息子はあまり出来がよくないのだな?いよいよ大和に手を出してきた」
 これは秀長が一番恐れてきたことだ。大和は順慶が命を削って手に入れた領土だ。
「殿下も家康には渡しくないようだ。だが今大和を押さえれるものは近くにはいない。最後にこの仕置きを考えよと申された。父順慶も殿下の覚えがよくないのだ」
 それだけ言うともう立ち上がって寧々殿に呼ばれていった。狗は部屋を抜けて狐の控え間に行く。狐の横に珍しい鼠が控えている。
「浜松から出て来たか?」
「はい。申し訳ありません。天海が消えました」
「山に?」
「登ってきました。それが修験者の数も相当減っていたのです」
「修験者が減った?」
「大和が最近不穏のは彼らか?」
「狐、隠れ家に繋ぎを入れて昔の山を探らせてくれ」
「私が?」
「いや、鼠は巫女の胡蝶を探ってくれ。茶々に懐妊の術を施していた」
「そう、今の茶々は別人になったようよ。それと石田三成とも怪しい」
 今の狗の力では及ばないところに来ている。秀長ももう手一杯なのだ。
「狐、それと隠れ家から下忍をもう少し送れないか?」
「そうね。ここまで仕事をするようになるとは思わなかったね」

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