バナー画像 お気に入り登録 応援する

文字の大きさ

全部思い出しました

「はじめまして、マリアナ・レインツェルと申します」
「君が僕の婚約者か、第1王子のレイト・ピッツワークだ」
 そう言ってレイト様はにこやかな笑顔で手を差し出して来た。
 私もニッコリ笑い手を出して握手をした。
 その瞬間である。
 私の脳内にある映像が飛び込んできた。
 それは成長した私とレイト様が対峙していて、レイト様の横には知らない令嬢がいて・・・・・・、

『マリアナ・レインツェル! お前みたいな弱いもの苛めをする奴は僕の婚約者に相応しくない! 婚約を破棄する!』

 そう言われ婚約破棄を宣言され・・・・・・、

『お前みたいな妹を苛める奴など娘とは思わん! 今日限りで出ていけっ!』

 お父様から勘当を言い渡され・・・・・・、

『私が何をした、て言うのよ・・・・・・。こんな世界なんて滅べば良いのよ・・・・・・』

 ボロボロの私が世の中を呪い小さな小屋で息絶えてる姿を・・・・・・。

 一気に脳内でそんな映像を見た私はガタガタと震え全身から汗が吹き出てきた。
「マ、マリアナ? どうしたの?」
 そんなレイト様の心配そうな声を最後に私の意識は途切れてしまった・・・・・・。


「う、う~ん・・・・・・」
「お嬢様っ!気がつかれましたかっ!?」
「あ、あれ・・・・・・? 此処は・・・・・・?」
「お嬢様の部屋でございますっ!」
 あぁ・・・・・・、そういえば私、お城の中庭でレイト様と会って・・・・・・。
「旦那様も心配されてました! すぐに呼んできますねっ!」
 そう言ってメイドが出ていった。
 私はベッドから体を起こしてジッと手を見た。
「私・・・・・・、もしかして戻ってる?」
 そう、私が脳内で見た映像は全て私が経験した事。
 私マリアナは1度死んでいるのだ。 



しおり