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天下への階段6

 長老から秀吉自身が出陣したと繋ぎが来た。3万の大軍を率いているようだ。数の上では家康より上だ。狗は蝙蝠達の情報を地図に書き入れる。蝙蝠の報告では服部が2百相手の陣に攻撃をかけたとのことだ。宗矩は家康の横で何やら話しかけている。狗は雑兵として小牧城の中にいる。夜には潜るが服部の結界が強く近づけないでいる。だが今夜は服部の姿はない。
 家康も宗矩も鎧を着けたままだ。
「秀吉が出てきましたが?」
「一度徳川の意地を見せないとな?だが」
 家康は爪を噛む。
「だがここで秀吉を討ち取れないとなると、すぐに引き上げる」
「それは?」
「天海の意見だ」
 天海?初めて聞く名だ。
「秀吉は強いと知ると懐柔に出る。残念だが総力戦となると徳川に勝ち目はない。それに攻め込むと後ろの北条が来る」
「北条とも話をしていますが」
 宗矩が頷く。襖が開いて武将が入ってきた。
「出陣の支度が整いました」
「よし」
 家康が立ち上がる。狗は天井裏から城を抜け出す。
「家康が城を出たと報告を」
 下忍の一人が走る。狗は蝙蝠を連れて家康の雑兵に紛れる。軍が進むごと兵は増えてきているようだ。2万を超したように見える。朝陽が昇った頃、秀吉の大群が見えた。両軍が入り乱れて1刻になる。森長可が討ち取られると秀吉軍は急に劣勢になった。家康と織田信雄がひとたび城に引き上げた。
 だが秀吉は倍増する兵を集めた。家康は北条固めの兵を呼ぶことはできない。秀吉も攻め倦む戦いが続く。ここ最近戻ってきた信雄と宗矩が相談することが多くなった。狗は蝙蝠に秀吉宛ての文を持たせた。信雄講和の動きありと書いた。そのうち宗矩が柳生の兵を30人連れて城を出た。宗矩の会った相手は軍師黒田だ。



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