バナー画像 お気に入り登録 応援する

文字の大きさ

駆け引き8

 清州に入るとお伽衆になった長老を夜中に訪ねる。秀吉の屋敷に長老の部屋もある。
「どうだ?」
「早々柴田勝家との戦いが始まります。すでに武将は現地に向かっています。秀吉殿は三法師を担ぎます。家臣団長老の柴田を倒すことで織田家をまとめる気です」
「兵力は?」
「恐らく柴田だけなら勝ちは間違いないと思われます。ただ徳川の動きを気にされています」
「ところで秀吉には忍者軍団はあるのか?」
 狗は気になるところだ。
「黒田殿が直属の軍団を持っておられます。秀吉殿が直接使うことはないようです。蜂須賀殿も同様ですが極秘にされているので詳しいことは分かりません」
「蝙蝠は?」
「黒田殿が柴田の城に入れています」
「秀吉殿に光秀が柳生に匿われていることを伝えてくれ。すっかり傷は治ったようで宗矩と組んで動くと伝えてくれ。それと今回の光秀の謀反の裏には宗矩がいると」
 それだけ伝えると狗は柴田勝家の元に走った。蝙蝠が黒田だけでなく秀吉から直接依頼されているような気がしたからだ。蝙蝠はこのような微妙な仕事は苦手なのだ。下手に黒田、秀吉にうまく使われては狗の存在も危うくなる。これからはただの殺し合いだけでは生き残れない。

しおり