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光秀12

 未明にときの声が上がる。今京には信長の手のものはほとんどいない。唯一大軍を率いるのは明智光秀だけだ。信長は光秀を追い詰めていたが自ら実感がなかったようだ。
 門を内から開けたものがいる。弾正の忍者だ。その周りの建物の陰に服部の忍者が潜んでいる。狗は戻ってきた蝙蝠と隣の寺院の大屋根から見ている。
「順慶殿は?」
「やはり光秀からの文が来ていたと言っておられました。もちろん参戦しません」
 門前はあっという間に明智軍で埋まった。ようやく建物から信長の小姓たちが出てきた。
「鼠」
 鼠は先ほどまで熟睡させておいた。
「この文を秀吉殿に届けるのだ」
 もう鼠は駈けだしている。鼠には走り抜ける道もすでに狗が調べて置いた。この日が来ることを予想していたのだ。もちろん本能寺だとは思ってもいなかった。最後まで胡蝶による毒殺をイメージしていた。狐には商人になった家老を見張らせている。果心のお棺を燃やしたことで光秀と接触するはずだ。
 建物から火の手が上がった。
「建物から逃げ道があったか?」
「地下室から地下道を通れるのですが、出口はしっかり施錠されていて破るのは難しいかと」
 年寄りが説明する。
「どこに抜けている?」
「本能寺の末寺の墓場に出ます。でも地下道の場所も見つけにくいところにありました」
 年寄りとくノ一を4人出して信長来るまでに調べさせていたのだ。
 建物からの火の勢いが増した。もう戦う姿が見えない。広い庭に光秀の姿が見えた。横に斎藤利三が付いている。建物の中に兵が入っていく。どうも信長の亡骸を探しているようだ。すでに服部は消えている。家康は動くのだろうか?

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