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秘密10

 山城の城に降りる。すでに年寄りからの連絡でくノ一と下忍が戻ってきていると伝えられた。山に登ったのは誰にも話していない。部屋に入ると下忍とくノ一が旅装束で座っている。
「貰っていた城の見取り図です。これはくノ一の報告で実査したものを書き入れています」
 下忍が説明をする。彼は見取り図専門の下忍だ。
「表門がくノ一の言う通り二重になっていました。攻められたときにここまで入れて鉄砲で倒すものでよく見られるものです」
「ここから入ったのか?」
「いえ、表門は合戦の時しか開かれないそうです。これは城の侍に聞きました」
「ここは?」
 裏門が新たに加えられている。
「これはさすがに警戒が厳しくて門だけを見ただけです」
 くノ一いや揚羽が微笑んで答える。
「これは前の領主からいた村の女中の話ですが、弾正の手のものが壁を破って攻め込んだと言うのです」
「だがこの後ろは崖になっているのだろう?」
「はい。ここは普通の兵では下りれません。忍者でないと無理です」
 下忍は崖は調べたようだ。
「これも女中の話ですが攻め込んできたのは修験者達だったそうです」
 揚羽は嘘をついていない。狗は地図をよく見た。この崖の上には修験者場に繋がっている。揚羽は狗が 修験者場を調べたことを知らない。
「ご苦労。戻るんだ。私は大和に寄って帰る」
 揚羽から大和に伝わるはずだ。だが旅籠を出ると狗は筒井に向かって走った。筒井に入った時あの京之助が顔を出した。無言で着いてくるように言う。
 陣幕が張られていて兵が囲んでいる。
「狗か?弾正の兵が昨夜5百攻めてきた。いよいよ侵攻を始めたのだ。あの出城から攻めてきた。どうしてもあの城は取り戻さないとダメだ」
 それで裏門の話を含めて伝えた。それを聞いた順慶は京之助を呼んで狗に詳しい場所を説明させた。

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