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プロローグ


死んだ人の魂の行方を一度は誰しも考えた事があるはずだ。
もちろん、俺もその一人として、授業中のつまらない時間にふと、そんな事を考えた。だって、他人の人生を長々聞く歴史にどんな需要があるのか。
天国に行くのか地獄に行くのか、はたまたお化けになって女子トイレに忍び込むのか。
体が動かなくなるだけで、魂その物は体に染み込む可能性だってありうる。
場合によっては好きな子の背後霊になって永遠にストーカーすることだって可能なのでは!?
つまり、想像という名の概念の元で語るなら、それは無限大に広がる。
だって、死後なんて死んだ人しかわからない訳で、死んだ人が俺達にほいそれと教えてくれる事なんてありえないのだから。

…………けれど、俺はその秘密とやらを知ってしまったらしい。

いや、もしかしたらこれは例外なのかも知れない。
気づいた時、誰もいない世界に一人、存在していたのだ。
見た目だけ言ってしまえば、俺たちの世界その物なのに、そこは色々とぐちゃぐちゃで、何もかもが壊れていた。まるで世界の仮面を被った別物。言ってしまえば、壊滅都市その物なのだ。
そんな世界で俺は、今日も散歩を始める。
いつから俺はこんな事をし始めたのかは、覚えていない。
けれど、おかしな矛盾点が存在するのだ。
世界の終わりが昨日の事のように覚えている。
それは比喩でも何でもない。明確に昨日起きたと、心が、体が訴えかけて来るのだ。
俺が間違っているのか……?
それとも……。

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