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「うわ~きれい」

思わず感嘆のため息が出る。

「目立つな。あれだけ派手だと」
隣で闘華が呟いた。

広がる荒野、満天の星。
その先に、ネオンに包まれた街がある。
この星で唯一の人のいる場所。
いや、いるかもしれない場所。

「行く?」
まっすぐそれを見つめながら、私は聞く。

「行くしかないだろ?」
当然と言った感じで彼女は歩き出す。

「あ、ちょっと待ってよ」
私は腰掛けていた岩からピョンと飛び降りると慌てて後を追った。


遥かな時間。
私が生きてきた中で最高の文明を誇った時代の結晶がこの街だった。
そこは辺りとはきっぱりと違っていた。
周りは剥き出しの岩や土がでこぼこしているのにそこは――
道にはアスファルト、建物はガラス張りで中はまったく見えない。
街を囲むのは金属の壁、そして門はクリスタル製。
明らかに人工的な街。


近くで見るとそこは昼ではないかと思わせるほどの光を放っていた。

「さすが……というべきかな」
言葉も無いと言う風に闘華がその光に目を細める。

「文明の力だね」
「それにしても、おかしくないか?」
その街に足を踏み入れた闘華が唐突に聞いた。
「やっぱり?私も何かおかしいなって思ってはいるんだけど」
それが何かがわからない。
私も闘華に続いて街に足を踏み入れる。

ぞくりと神経が逆立った。

「人の気配がしない」
辺りを見回して彼女は言った。

それだけじゃない――

何かが私にそう訴える。
よく見ると建物自体が光を放ち、その光はまた建物に反射して広がっていた。
私にはそれがとても不気味なものに見える。
光の螺旋があちこちを飛び交い、隙間も無い。

「ねぇ、なんか」
私は思わず闘華の服のすそを引っ張った。


「しっ」
「ど…どうし……?」
言いかけた私の唇に人差し指が当てられた。

「何か来る」
彼女は一点を見据えて目をそらさない。
同じ方向に私も目をやる。

やって来たのは丸いボールのような物体。
1mぐらい宙に浮いているそれは明らかに生物でなく機械だった。

「ヨウコソ」
私たちの前までくるとそれは、無機質な声を響かせた。


「ドウゾコチラヘ。シャルム様ガオマチデス」
プワプワとそれは不安定に揺れながら回った。

「どうするの?」
チラリと闘華の顔を覗う。

「行くか」
ボールに目をやり彼女は言う。

「大丈夫なの?」
ぽふっと頭に手の感触。

「ま、どうせ行く予定だったし」
にっと笑うその顔は無理をしている感じがする。

「でも罠だったら」
「その時はその時で考えるさ」
そしてその後に、「どうせ逃げられない」と小声で付け加えた。

「?」
クシャッと髪を撫でられ背をぽんと押される。
「さ、行こう」
見張りでもいる?
いや、人の気配がしないといったのは闘華の方。
それに動いているのは私たち3人―いや2人と1機。
他に動くものは見当たらない。
まるで死の街。


私たちは町の中央にあるお城型の建物に案内された。
それはクリスタルで出来ていて、他の建物とは違う7色の淡い光を放っていた。
闘華は先へと足を勧める。

「ねぇ。やばいよ。ここ」
戻りたい気持ちいっぱいで闘華に訴えてみる。
「どっちにしろ。もう戻れないよ」
冷たい返事に私は何も言えなくなった。
コツコツと足音だけが響く。
中も同じようにクリスタルだったが光は放っていなかった。

廊下の天井は微かに光を放っているが、それは明かりとしての作用だった。
ただ、壁が透けてはいたが――

(何のための壁だろう)

隣の部屋は薄暗かった。
よく見ると規則正しく箱が並べてある。
そう、棺おけのような形の……

「…あのさ、もしかして、あれって……」
私は小さな声で闘華に尋ねた。

「気づくの遅い」
呆れたような声が返ってくる。

「たぶん、思ってるとおりだよ。ただ、死んでないとは思うけど」
「死んでない??」
私の頭の中でクエッションが広がる。
続きを聞こうとした時だった。


「ドウゾ、コノサキヘはオフタリデ」

ボールが急に止まり、扉がシュンと開いた。
その部屋には銀色の木の様なものがそびえていた。
そしてそこからテーブルらしきものが出ていて椅子が2つ。
天井は廊下よりも強い光が覆っている。
壁はたくさんの配線に囲まれていて向こうの部屋は見えない。
よく見ると木の様な物も銀の配線の塊だった。
天井に枝のように線を張り巡らせている。
人は見当たらない。

「私たちを呼びつけたのは誰なんだ?」

闘華は一通り丸い部屋を回って呟く。

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