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生い立ち8

 絶対信じれるものと言うと数は限られる。獅子の調査もこの辺りが限界だ。尾行がまかれるところまできた。それでくノ一を外してあの年寄りだけを獅子が囲っている女のところに潜ませた。1月も屋根裏に籠ることができるのだ。その繋ぎを狐を使っている。出来るだけ身内でしないと獅子に漏れそうである。獅子も狗に2人のくノ一を張り付けている。
「どうもこの女弾正の忍者の妹らしいわ。服部に潜伏している女郎よ。兄が時々会いに来る。この妹は今も服部のくノ一で豪族の動きを見張るのが仕事のようよ」
「あの蔵の襲撃はこのくノ一の情報だな?」
「弾正の忍者はどうも大和を固めて服部を傘下に入れるつもり。すでに何人かの服部の豪族が弾正側になびいている」
「その手先に使われているわけだな?」
「このままじゃ仲間はすべて殺される」
 実に今までの仕事で18人の下忍が命を落としている。現在の総勢が16人だから大変な数だ。
「消すしかないな」
「私が潜る。あの店には女郎が7人いる。すでに女将に渡りをつけている。この女将もくノ一で妹がここを支配している」
「大丈夫か?」
 狐の剣の腕はそれほどではない。狐の武器は女そのものだ。膣に痺れ薬を塗って簪で首を刺す。それと逃げ足だ。
「実行は二人でやる。獅子が来た時を狙う」
「だけど女には私の技が使えない」
「天井裏の年寄りに眠り薬をゆっくりと流すように伝えてくれ。まぐわっている最中に切り込む」
「何度も二人がまぐわっているのを見た。あの女は最後に失神をする。その時を狙う」
 狗はすでに次の仕事を決めている。これは獅子にも報告している。筒井の仕事で上野の城の地図を奪う仕事だ。すでに5人を忍び込ませて地図の在りかを調べた。実行時は狗が出かける。獅子は狗が仕事の日に必ず女のところに出かける。

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