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第106話

 ナオは逃げながら、エネルギーカノンのエネルギー充填を急ぐ。

(体の負担から考えて、最大出力での発射は、あと一発が限界。これでルシーナを倒せなければ、私達の負け。だけど……当てるには、奇をてらわないと)

 ナオは自身のエネルギー消費を抑えるため、可能な限り最低限の動きとスラスター噴射を行うが、ルシーナの攻撃をすべて避けきることはできず、左腕や足に被弾していく。

「ほらほら、逃げてばかりじゃダメですよ。ちゃんと避けて反撃しないと、穴だらけになってしまいますよ?」
「く……っ」

 ナオは副兵装として持っていた、ハンドガンを撃った。しかし、一発も当たらない。

 ナオの狙いが、まったくと言っていいほど定まっていないのだ。

「……そう。もう手に力が入らないくらい、エネルギーが減っていたのね。もっとあなたと戦っていたかったのに、残念」

 これ以上戦うのは無駄だ。そう言わんばかりに、ルシーナは顔に落胆の色を見せると、一気に加速。ナオに接近していき、エネルギーライフルを連射してきた。

「ぐ……ぁっ」

 左手で顔を防ぎつつ、致命傷を何とか避けるが、その間にルシーナは目前まで迫っていた。

 その手にはエネルギーブレード。ナオを確実に仕留めるつもりだ。

(まっすぐ突っ込んでくる……私がもう、避けられないと思っている)

 一〇〇メートル――五〇メートル……そして、三〇メートルの距離を切った瞬間、

(今だ!)

 ナオはエネルギーを充填したエネルギーカノンを素早く構え、引き金を引いた。

 これだけ近ければ、撃った後で避けられることはない。

 銃口から放たれた光は、瞬時にルシーナに届く。が――

「――っふ!」

 ルシーナはエネルギーブレードを発動。その刃をバリア代わりにした。

 ルシーナのエネルギーブレードは破壊されたが、それによって作られた隙で、ルシーナ本人はナオのエネルギーカノンを避け、エネルギーライフルの銃口をナオの眼前に置いた。

「さようなら、02。楽しかったわ」

 ルシーナの指が、引き金を引く。

 至近距離で発射されたその細い光は、ナオの右目を貫き、後頭部へ逃げた。

「っ…………」

 落ちていく体。

 抜けていく力。

 薄れていく意識。

 その中で、ナオは謝罪をする。

(……すみません、澄人……私は、もう……あなたとは……)

 その時だった。

「ナオ!」

 澄人が建物から出て、彼女の名を叫んでいた

(澄人……出てきちゃ、ダメじゃないですか……。危ない、ですよ……)

「ナオーーーー!!」

(大、丈夫……。心配、しなくても……約束は……守りますから)

 ナオは視線を動かし、ルシーナを見る。

「あれが、ヤナギハラスミヒトですね……ふふふ」

 ルシーナの目は、澄人の方を向いていた。

(……頼み、ますよ……私の、体……)

 途端、ナオの右腕に力が入り、ルシーナにエネルギーカノンの銃口を向ける。

(今……撃……って……!!)

 それに応えるように、引き金にかかっている指が動いた。

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